リスティング広告の自動化とどう向き合うか

【リスティング広告】自動化が進んでも必要とされる「広告運用者の役割」

リスティング広告運用に限らず、人事や経理、はたまた弁護士や会計士など、様々な分野で『自動化やAIの進化によって、人間の仕事が奪われる』という、不安を感じる言葉を聞くことが増えてきました。

技術革新により自動化が進むことによる労働力代替の可能性については様々な推計が行われている。

例えば、英国オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フレイ博士は、米国において10~20年内に労働人口の47%が機械に代替可能であると試算をしている。

引用元:総務省|平成30年版 情報通信白書|職業の変化

19年12月17日(火)に、ギャプライズ様が「【徹底議論】運用型広告プレイヤーは自動化とどう向き合うか?」というイベントを開催します。

実に興味深い(湯川教授)テーマでしたので参加したかったのですが、諸事情(忘年会)のため参加できず…。

AIに関する知識は、映画「ターミネーター(1985年公開)」と、海外ドラマ「パーソン・オブ・インタレスト(2011年放送開始)」ぐらいしかない私ですが、自分なりに「リスティング広告運用の自動化と、どう向き合うか」について考えてみました。



そもそもリスティング広告運用の「自動化」は、運用者の仕事を奪うものなのか?

リスティング広告での自動化は、現時点では「入札調整」「レポート作成(数値の集計)」「ターゲット選定(例:Google広告のスマートディスプレイキャンペーンや動的検索広告)」が該当するのかなと。

ひと昔前までは、人間が時間をかけて設定や準備を行っていた”作業”ですね。

単純に考えると”作業”の部分は自動化によって効率化されるので、”作業だけ”のお仕事は「奪われる」というよりも「減っていく」というのが、自然の流れかなと感じます。

で、リスティング広告運用の自動化の話で、特に話題となるものは「入札調整やターゲット設定の自動化」です。

『レポート作成(数値の集計)は手作業じゃなきゃダメだ!』

という声は聞いたことありませんが

『自動入札って、人が入札調整するよりも、ほんとに成果が出るの?』

のような、「自動入札」と「手動入札」のどっちが良いのか、という話はよく聞きます。



「入札調整やターゲット設定の自動化」について考えてみる

私の考えは、入札調整やターゲット設定を自動化(機会学習)に任せるか、人間が行った方が良いかは、あくまでも”手段”の話なので、

『自動でも手動でも、”目的”が達成できる”手段”を選べば良いんじゃない』

です。

「自動入札」も「手動入札」も、どちらにもメリット、デメリットはあるので、両方の良いとこをハイブリットして、案件ごとに適したやり方を選べばいいのかなと考えています。

恐らくギャプライズ様のイベントでも、どっちが良いか悪いかを決めるような単純な話ではなく、「どう向き合うか」の議論をされるのでは無いかと思います。(聞いてみたかった…残念)

リスティング広告運用で考えるポイントは、「自動化」でも「手動」でも変わらない

19年12月11日に開催されたイベント「マケスタ大忘年会! ~今年おさらいしておきたいマーケの最前線~」の中で、アナグラム様が「運用型広告の自動化・マルチチャネル化にどう向き合うか?」というテーマで登壇されていました。

↑他にもtwitterのハッシュタグ「#マケスタ」で登壇内容を確認できます。

↓ギャプライズ樋爪さんのツイートを引用

私もこの通りだと考えていて、リスティング広告運用のポイントは自動・手動に関わらず「誰に」「何を」「いくらで」を最適化することです。

私も以前にブログの余談で、こんなことを書かせていただきました。

リスティング広告の運用をシンプルに考えてみると

最近は「リスティング広告=自動入札」の話が多い気がしていて。(まぁ私も自動入札が大好きなんですけど)

リスティング広告の運用をシンプルに考えると

①誰に(検索クエリ、ターゲットユーザー)

②いくらの金額で(入札額、入札方法)

③どんなメッセージを(広告、ランディングページ)

④どれだけ表示すればいいか(広告費、インプレッションシェア)

の4つかな、と。

で、自動入札が関わる部分って、①と②なのかなと。

だから、自動入札を設定しただけで、全てが上手くいくって発想がセクシーじゃないよね。

>>>Yahoo!スポンサードサーチの自動入札「コンバージョン数の最大化」の成果について

リスティング広告の運用の自動化やAIが進化しても”人間にしかできないこと”は恐らくまだ数年は残るので、「広告運用者の仕事が無くなる」というよりは「広告運用者の役割」が変化していくのかな、と。

なので、どれだけ変化に対応できるかが大切なのかな、と。



リスティング広告運用の自動化やAI・機械学習が進んでも、人間にしかできないことってなんだろうか

海外ドラマ「パーソン・オブ・インタレスト(2011年放送開始)」から学んだ知識を元に、もし仮に「リスティング広告の”自動入札”しか選択できない世界」になった場合、広告運用者に求められる役割(スキル)について考えてみました。

※「商材を理解する」や「ターゲット像を考える」は、今でも変わらないので除きます。

「パーソン・オブ・インタレスト」をまだ見たことのない方はコチラをご確認ください↓

事件は、起こる前に、阻止する!そのターゲットは被害者か、加害者か…予測不能の新感覚・次世代クライムサスペンス。

テロの危険性を事前に察知するため、政府によって極秘開発された犯罪予知システム、通称“マシン”。

街中に張り巡らされた監視カメラや携帯電話、GPSなどから情報を得るそのシステムは、テロだけでなく、日常的に起こる凶悪犯罪も予知したが、政府はそれらを“無用の情報”として排除していた。

マシンの開発者ハロルド・フィンチは、政府が無用と判断した情報を密かに入手。

驚異的な戦闘技能を誇る元CIAのジョン・リースをパートナーに迎え、一般市民が巻き込まれる凶悪犯罪を未然に防ぐため、人知れず活動することを決める。

ところが、マシンがはじき出すのは事件に関わる人物の社会保障番号のみ。

そのターゲットが被害者か、加害者か、いつどんな事件が起こるのかも分からない中、二人は命をかけて数々の事件に挑んでいく!

①広告アカウントの「設計力」

機械学習は、蓄積されたデータの何百万のパターンの中から、アルゴリズムが”良い感じのパターン”を見つけます。

残念ながら、機械学習の知識は「パーソン・オブ・インタレスト」でしか学んでいないので、「ファジィクラスタリング」とか「ステップワイズ回帰」といった詳しい話はわからないので、ざっくりとした説明になりました。

で、Google広告では、ユーザーの「所在地」や「直近の検索履歴」などの様々なシグナルやコンバージョンデータを活用して、

『このユーザーには、この入札額で配信すれば、コンバージョン数も増えるんや!』

と入札調整する感じです。

つまり、機械学習が上手く動くためには、「学習するために与えるデータの質と量」が重要となります。

与えられた広告予算の中で「どうやって質の良いデータを貯めるか」を考えて、広告文、登録キーワード、オーディエンスリスト、コンバージョン計測」などの初期設定を考える必要性が高まるかと。

極端な例ですが『コンバージョンタグの発火条件を間違えていました…』では、機械学習も間違ったデータを元に動いてしまいますので、タグ周りの知識も必須ですね。

ちなみに「パーソン・オブ・インタレスト」では、「マシン(AI)」が犯罪を検知するように”善・悪”を学習させるまでm約10年(43パターンのプログラムを開発)も費やしました。

②配信結果から施策を考える「観察力」

機械学習は与えられたデータを元に動きます。

まず、常に動きを観察して変化をとらえること、そして変化があった場合に「何が原因か」を分析できることが必要かと。

成果が良くなった、または悪くなった要因を、「ロジックツリー」や「管理画面以外の情報」などを元に考えられるか(仮説立てできるか)が求められるのかな、と。

ちなみに「パーソン・オブ・インタレスト」では、「マシン」は”犯罪に関与する人”を検知しますが、その人が「被害者」か「加害者」かまでは分かりません。人間(フィンチ、リース、カーターなど)が、その人を観察して「被害者」か「加害者」かを判断します。

③コンバージョン率を改善するための「発想力」

リスティング広告の自動入札のアルゴリズムでは、シグナルを元にオークションごとのコンバージョン率を推定して、入札額も調整されます。

Google広告ヘルプ:自動入札>目標コンバージョン単価制について

例えば、目標CPAが5,000円でコンバージョン率が2%なら、クリック単価は「CPA:5,000円×コンバージョン率:2%=100円」となるように調整される感じです。

つまり、自動入札を上手く活用するためには、コンバージョン率を改善することが大切です。

コンバージョン率を改善するためには、リスティング広告の管理画面の設定だけではなく、リンク先の「コンテンツ改善」も必要です。

コンテンツ改善は、自分1人だけでは実行でないことが多く、また広告費以外のコストも発生します。

・サイトのアクセス解析で、数字を元にしたコンバージョン率の改善ポイントを見つける。
・アクセス解析による改善ポイントから、具体的な施策を考える。
・サイト改修に必要な工数(HTML、CSS、JavaScript)を元に、改善施策にかかる費用対効果を想定する。

特に「具体的な施策を考える」については、機械学習なら「過去の事例から成功パターンを見つける」ことはできますが、「0から新しい施策を考える」は難しいです。人間の発想力が必要になる部分です。

ちなみに「パーソン・オブ・インタレスト」では、

『故障した「マシン」を復旧させたいけど、電力やスパコンが無い…』

というピンチを、

『地下鉄車両の中にプレステ300台をつないでスパコンを作る』

という発想力で乗り切りました。

④正しい情報を取捨選択する「判断力」

テクノロジーが進化すると、それに関する「個人のブログ記事」が溢れかえります。

このブログも同じです。

個人ブログは、筆者の考え方にバイアス(最近覚えた)がかかっていたり、そもそも掲載している数値や情報の信憑性も不明です。

・公式サイトや公式SNSなどからの「一次情報」を確認する。
・第三者の「成功事例」は鵜呑みにしない。
・信頼できる人と繋がりを作って、情報が正しいか確認できるようにする。

が大切かなと感じます。

ちなみに「パーソン・オブ・インタレスト」では、「マシン」がもう1つのAI「サマリタン」に妨害されていました。

⑤周りの人たちとの「コミュニケーション力」

自動化や機械学習が発達しても、この部分は人間が勝る要素かな、と。

お客様へ提案し、承認を得ること。

関係者と連携をとって動くこと。

これは人間同士のやりとりです。

個人的に面白いなと思うのは、AIが進んでいるFacebook本社が街のようになっていることです。

ネット環境さえあれば在宅でも仕事ができるはずなのに、街のような本社を作ることで、人と人とのコミュニケーションを大切にしているのかな、と。

もし仮に広告運用の自動化がものすごく進化して、「誰がやっても同じ成果が出る」という精度になったときに、

『この人に任せたい(一緒に仕事をしたい)』

と思っていただけるかどうか。

このスキルは、営業テクニック本によく書かれてい「服装を綺麗にする」「お客様の目を見て聞き役に徹する」のような表面的なことだけではなく、もう少し根っこの部分。

ちなみにパーソン・オブ・インタレスト」でも、主役の2人(フィンチとリース)の最初はドライだった関係が、徐々に信頼のおける関係に変わっていきます。



まとめ

広告運用者の立ち位置は、野球で例えるなら「選手」や「監督」といったプレイヤーの立ち位置から、球団全体を見渡す「GM」のようなマネージャーの立ち位置も求められるのかな、と。

・自動化は「手段」の話。基本をしっかり覚えていれば「手段」をどう使うか考えるだけ。

・自動化で上手く使いこなすための知識を増やす。極論「広告運用の仕事が無くなっても、他で活かせるスキル」を身に着ける。

・「パーソン・オブ・インタレスト」は面白い。(特にシーズン3からSFの要素が強くなります)

広告運用に限らず、どの分野でもテクノロジーは進化しているので、「テクノロジーと人をどう上手くつなげるか?」と「人間にしかできない役割は何か?」を楽しみながら考えて、仕事や勉強にに取り組んでいます。

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リスティング広告運用のフリーランス。サイトのアクセス解析やライティングもやってたり。このホームページもWordPressで自主制作。趣味は野球、サッカー、プロレス観戦。写真は我が家の愛猫『ホープちゃん』です。
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