2017年9月、ただのサラリーマンだった私はフリーランスとして独立しました。
準備もなければお客様もいない、ゼロの状態からスタート。
そのため、当時は(そして今も)
『3ヵ月後まで生活できるのかな…』
と不安ばかりでしたが、無事に生活を続けています。
本当に皆様のおかげです。ありがとうございます。
最近では、Web広告代理店で働いていたときの仲間や、全く面識の無い人からもTwitter経由で
『フリーランスってどんな感じですか?』
といった質問を受けることが増えてきました。
フリーランスについてよく聞かれることはこの3つです。
・いくら稼いでいるの?
・どうやって案件を集めているの?
・どれぐらい忙しいの?
私もフリーランスになった直後、同じようにこれらの情報を必死で調べましたが、フリーランスの活動内容や実績数値を紹介してくれる記事はほとんどありませんでした。
そこで、当時の活動を振り返る意味も込めて、「私がフリーランス独立から1年間の収入」をブログにまとめます。
※このブログは2018年10月に書いたものです。
目次
そもそもなぜフリーランスになったのか?
私は
『フリーランスとして稼ぎたい!』
『自分の裁量で仕事をしたい!』
といった野心や独立願望は、全くありませんでした。
学生の頃から日本マクドナルド元会長の藤田田さんが好きで、藤田田さんの本を一通り読んでいたので、経営者がどれだけ大変かということも知っていました。
「経営者」は「会社員」に比べてリスクが高すぎると考えていましたので、安全第一の私には独立するなんて考えは1ミリも有りませんでした。
そのため、仕事や収入に対しては「年収が高い会社に勤める」という考え方しかありませんでした。
もともとは事業主側のマーケティング担当(Web広告のインハウス運用者)として働いていたのですが、自分の年収を上げるために、給与条件の良い別のベンチャー企業にマーケティング担当として転職しました。
ただ、私自身のコミュニケーション不足もあり、転職先のベンチャー企業の風土に合わせることが出来ず、転職してから3週間で辞めてしまいました。
『この年齢で3週間たらずで会社を辞めてしまっては、もう次の転職先を探すのも難しいだろうな…。』
と悟り、また急に辞めて収入が0になってしまったので、とにかく生活していくためのお金を稼ぐ必要もあり、転職活動は諦めて「フリーランス」として生きていくことを決めました。
よくある「会社員がいいか?、フリーランスが良いか?」の話
働き方改革で「これからは組織に属さないフリーランスの時代!」という声も多いですが、1年間フリーランスとして活動した私の意見は「どっちでも良い」という考えです。
組織で会社員として働くメリット・デメリット、フリーランスとして働くメリット・デメリットはあるので、やっぱり一概に「どちらが良い」とは言い切れないです。
でも、今の時点でフリーランスを辞めて会社員に戻りたいか?と聞かれると、私の答えは
『今はフリーランスを続けたいな』
です。
今まで生きてきた中で、最も長く続けられたことは「小学校の6年間」ですので、その記録を「フリーランス」で更新したいなと思っています。
ただ最近、フリーランス希望者の人と話をすると、
『20代のうちに独立して自分の力で稼ぎたい!』
という、フリーランスになることを目的にしている人が多いのかなと感じます。
私の場合は、転職する余裕もなかったためフリーランスの道しかありませんでしたが、本来は先に自分のやりたい(なりたい)仕事像があって、「会社員」か「フリーランス」はそれを達成するための手段でしかないと考えます。
世の中のフリーランスってどれぐらい稼いでる?
ここから先はフリーランスの収入の話をしていきます。
まず、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(長いので以下「フリーランス協会」で)が発表した「フリーランス白書2018」の統計データがあります。
フリーランスとパラレルワーカーの非営利支援団体「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」(東京都中央区、代表理事 平田麻莉、以下「フリーランス協会」)は、当協会の一般会員およびメルマガ会員、SNSフォロワーに対し、フリーランスの実態調査を実施し、1141名の有効回答を得ました。また、1000名の会社員の実態およびパラレルキャリア(副業や複業)への関心や課題を調査いたしました(調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト)。両調査の結果を「プロフェッショナルな働き方・フリーランス白書2018」としてまとめ、本日公表いたします。
引用元:
【発表】「プロフェッショナルな働き方・フリーランス白書2018」独立系/副業系フリーランスの多様な実態が丸わかり
「フリーランス白書2018」調査結果
「フリーランス白書2018」の職種別年収構成を見てみると、フリーランスの業種によって年収にもばらつきがあり、『ビジネス系』『IT・クリエイティブ系』『士業系』は年収が比較的高い傾向です。
「Web広告運用」や「Webマーケティング」のフリーランスは、「ビジネス系」または「IT・クリエイティブ系」に該当するとして
・年収500万円未満の人⇒全体の約50~60%
・年収1000万円以上の人⇒全体の約10~5%
といった調査結果です。
フリーランスになってから考えていたこと
冒頭でも書いたように、独立の準備もしていなければ、自分のお客さんを持っていた訳でもないので、「0からどうやって収入を得るか」をひたすら考えながら活動していました。
もし、これからフリーランスとして独立される方は、「3つの収入目標を設定する」と、計画的に活動できるのではないか考えます。
私もこの3つの収入目標を設定して、そこから「今の段階なら何をすればいいか」を考えて動いてきました。
フリーランスが漠然と
『とにかく稼ごう!』
と頑張っても「1人で心が折れて挫折する」または「間違った活動をして手詰まりになる」可能性が高いです。
Webマーケティングと同様に、漠然としたKGIをただただ追うのではなく、それを達成するためのKPIやマイルストーンを立てていかなければ、継続は難しいです。
収入目標その1:25万円(生きていくために最低限必要な金額)
フリーランスになって最初に不安に感じたことは
『いくら収入があれば生活していけるのか?』
が分からないことです。
会社員とは違って毎月決まった収入がある訳ではなく、また健康保険や税金の仕組みも会社員と変わるので、収入に対して漠然とした不安が出てきます。
ネットで調べてみても「フリーランスは会社員の2倍稼ぐ必要がある」や「会社員の年収+200万円は必要」など、
『そんなに稼げないよ…』
と不安になってくる情報ばかりでした。
そのため、私はもう悩んでも仕方ないと割り切って、家賃や生活費などを最低限必要なお金をザックリと計算して、
『まぁこの金額をどうにか稼げばなんとかなるでしょ』
という金額を、1つめの収入目標に立てました。
私の場合は、1つ目の収入目標は「月収25万円」でした。
「月収25万円」は、収入0の私にとってかなり厳しい数字でした。
フリーランスになる前、転職が決まったタイミングで家賃の高い都心に引っ越してしまったため、この家賃負担のおかげで「月収25万円」が最低目標金額になりました。
もっと家賃を抑えられていれば、「月収15万円」など低い金額を目標にできたと思います。
とにかくフリーランスになった直後は、まずこの「月収25万円」をどうにかして稼ぐことを考えて活動しました。
逆に
『この金額さえあれば、色々切り詰めていけばなんとか生活できるでしょ』
と考えられるようになり、フリーランスの漠然とした収入面の不安は”薄れ”ました。
もちろん”薄れた”だけで、消えませんけどね!
まずは、この金額を稼がなければ生活はできないため、稼ぐための働き方や仕事内容への拘りは捨てました。
もちろん、人の道に逸れた仕事はやりませんが
『どんな仕事でもまずは稼ぐ。話はそれからだ』
という覚悟を決めました。
話を戻して、独立直後に考えたことは、会社員と同じように「自分の労働時間をお金に変える」です。
アルバイトや派遣、常駐などの仕事で最低限の収入を稼いで、就業後や土日など拘束されない時間を使って、次のステップに行くための準備を行おうと考えていました。
Web広告運用の仕事には拘らず、コンビニのアルバイトや夜間警備員として働くことも考えていました。
ただ幸いなことに、今はまだまだ「Web広告運用者」が足りなくて困っている代理店や企業が多く、「Web広告代理店に運用者として週3日常駐」というお仕事と巡り合え、なんとか「月収25万円」を確保することができました。
広告代理店の過労死事件が起きてから、どこもしっかり労務管理をするようになり、逆に「案件はあるけど、人手が足りない」といった企業が多いんだなと感じました。
私がフリーランスとして独立したときに、実際に活用していたサービス「アカハイ」さんを紹介します。
アカハイエージェント
公式サイト:https://akahaiagent.jp
リスティング広告運用者やWebマーケターに特化した転職・派遣の紹介サービスです。
アカハイさん自体が広告代理店として、リスティング広告の運用代行業も行っているため、コーディネーターの方に「リスティング広告運用のスキルや悩み」の部分をちゃんと分かって貰えた印象です。
大手の紹介会社ではないため、案件の総数は少ないのですが、コーディネーターさんの小回りやサポートが手厚いです。
↓当時(コロナ禍の前)は、アカハイさんとの懇親会にもよく参加していました。
私はフリーランスでしたので「業務委託」という形式に調整していただき、週3日の常駐案件で生活費を確保していました。月に25~30万円ほどの収入でした。
収入目標その2:50万円(会社員時代と同じ年収600万円)
目標その1の「生きるために必要な収入」を週3日の常駐案件で確保できるよになってからは、次に『会社員時代と同じ年収』を目標に立てました。
私の場合は「月収50万円(年収600万円)」を目標に立てました。
会社員とフリーランスは安定性が違うため、本来はフリーランスにはもっと収入が必要ですが、あくまでも「収入目標その2」としての金額です。
『これぐらいの収入があれば、会社員時代と同じ生活レベルにまで戻ったかな』
と、次の安心感を得るためのマイルストーンのようなものです。
ただ、この収入目標を達成するために守らなければいけない条件が1つあり、それは
です。
「収入目標その1」のときの考え方を捨てる必要があります。
自分の労働時間をお金にするという考え方で行動すると、「深夜や土日も働く」や「自分の手に負えない案件を抱えてしまう」など限界が来ます。
よく、フリーランス(個人事業主)が長く仕事を続けていくために必要なこととして、「3つのS」の話が上げられます。
1:スリム
自分のリソースを抑える⇒Web広告運用の場合、過剰な案件数を抱えない。
2:シンプル
取り扱う商品数を絞る⇒「サイト制作」や「SEO対策」「SNSアカウント運用」など、自分の得意ではない分野で稼ごうとしない。
※でも「Web広告以外の施策のことも勉強する」必要はあります。これ、絶対。
3:スロー
時間に余裕を作る⇒1日の労働時間を「4時間以内」に抑える。
※実際は4時間以上働くこともありますが、基本的には1日4時間のつもりで工数計算をしないと、緊急時に工数がパンクします。
私はこの3つを守りながら活動を進めました。
結論から言うと「自分のノウハウに対してお金を払ってくれる”直接契約のクライアント”を増やす」が必要となります。
「マージン折半の2次請け案件」や「知人から紹介や依頼された”お友達価格の案件”」に手を出すと、自分のリソースが圧迫されて”沼”にハマります。
そうならないように「直接契約のクライアント」を増やすための活動を行います。
収入目標その3:月収80万円(年収900~1,000万円ペース)
収入目標その2の「会社員時代と同じ収入」を達成できたら、次は『もしものために備えて貯蓄できる収入=年収1,000万円』を目指します。
生活を続ける分には「会社員時代と同じ収入」を達成できれば十分なのですが、フリーランスはいつ案件が無くなるか分からないため、「月収80万円」という高めの目標を設定します。
※フリーランスには消費税免除の”年収1000万円の壁”がありますので、私の場合は目標金額を「月収80万円」にしています。
ただ1年間フリーランスをやってきて感じましたが、「月収80万円」を達成するって精神的になかなか難しいです。
会社員時代の収入を得られるようになると、心のどこかで
『まぁ生活できているからいいか』
と甘えが出てきて、活動も鈍ります。
「現状維持は後退の始まり」松下幸之助
まさにこれです。
この壁を乗り越えるためには、どこまで自分で追い込めるか(またはお尻をたたく人が周りにいるか)で変わると思います。
フリーランスとして独立してから1年間の収入
ここから先は、私の実際の1年間の収入です。
※記載する「収入」は全て手数料の収入です。外部の方への依頼費用が発生したり、広告費用を含めたりしていないので、原価は0円(私の作業工数のみ)です。
私がフリーランスになってから1年間の収入をグラフにまとめました。(ちょっと数字は丸めています)
17年10月から18年9月までの収入は、700万円を少し超える金額でした。
独立してから3ヵ月目までの収入(17年10月~12月)
週3日の常駐をしながら、残りの4日間を使って色々と模索していた時期です。
自分のホームページを作ったり、SNSアカウントを運用してみたり、同じフリーランスの方が主催されるセミナーに参加したり、オンラインサロンに参加したり、アフィリエイトサイトを作ってみたり、ビジネス交流会に潜り混んだり、今までお仕事でお世話になった方へ会いに行ったり、マルチっぽい怪しい集客セミナーにも参加してみたり。
この時期に、自分のお客さんを集めるための施策を色々と試せたのが大きいです。
元々は「Web広告でお問い合わせを集める」を考えていたのですが、結局はまだ1度もWeb広告を掲載したことはないです。
4~6ヵ月目までの収入(18年1月~3月)
フリーランスになってからコツコツと、自分のホームページを作成していました。
ホームページのセッション数は1日10~20ほどでしたが、それでも月に1~2件はホームページからお問い合わせをいただけるようになりました。
12月にお問い合わせがいくつか来て、その案件が1月と2月から稼働しました。
2月の時点で、直案件だけで「収入目標その1:25万円」を超えることが見込めましたので、週3日の常駐案件を3月で終了しました。
常駐先は良い会社でしたので感謝しています。
7~9ヵ月目までの収入(18年4月~6月)
4月、5月の「その他」の収入が多いですが、これは色々とご縁があって「広告代理店の社員へのWeb広告研修」というお仕事をお声がけいただきました。
そのため、この期間はスポット的に収入が増えました。
10~12ヵ月目までの収入(18年7月~9月)
この頃から、ホームページ経由でお仕事のお問い合わせを、月に3~5件ほどいただけるようになりました。
3~7月の間に届いたお問い合わせのうち、やっと9月から新しい案件が何件かスタートしたという状況です。
ホームページからのお問い合わせは、広告代理店からの2次運用の相談など「フリーランス=安く使える駒」と考えている方からのものも多く、実際にお問い合わせから受注につながる件数は、10件のうち1~2件といった状況です。
「代理店の2次請け」自体は悪いとは思いませんし、収益を安定させるためには代理店からのお仕事もバランスよく行いたいと考えていますが、なかなか条件が合うケースは少ないです。
自分自身、改めて1年の数字を振り返ると、4月から数字が横ばいという危うい状況で、もっと頑張らないと駄目だなと反省する点が多いです…。
結局「Web広告運用のフリーランス」ってどうなの?
フリーランスになってから、収入は同世代と同じか少し多いぐらい、労働時間は会社員時代の2~3割ぐらいにまで減った、という状況です。
そもそも自宅で仕事をしているので「通勤時間」が無いですからね。
ただフリーランスには、契約を切られたら「収入は0になる」というプレッシャーが常に付き纏います。
Web広告運用代理店に勤めていた頃、Web広告の成果が良くても
『マーケティング担当者が新しい人になったので、その人が推薦する代理店に切り替えます!』
『新しい風を入れたいので、代理店を切り替えます!』
といった理由で、契約が急に終わることもありました。
そのため、お客様にメールを送る度に
『この後「今月で契約を切りたい」って返信が来るんじゃないかな…』
という不安感で、1年経った今でも胃が痛いです…。
また、会社員としてWeb広告代理店でリスティング広告運用していた頃は、案件のコンバージョンが少なかったり成果が悪かったりしても、
『どう報告しようかな。まぁ3ヵ月ほど様子を見てれば自然と数字も戻るでしょう。』
と甘く考えてしまうことが多かったですが、今は
『早く成果を改善しないと、契約切られて生活ができなくなってしまう…』
という感覚でWeb広告を運用しています。
ほんとに。
でも逆に、独立したての経営者やフリーランスに起きるといわれる「会社員時代よりも収入が増えて、金銭感覚がおかしくなる」ということは無いです。
常に
『3ヵ月後の収入は0になっているかもしれない…』
というプレッシャーを感じながら、その不安を解決するために仕事に取り組んでいます。
最後に
ブログの前半でも書きましたが、会社員とフリーランスとでは、それぞれ別のプレッシャーやストレスがあります。
私もフリーランスになってから「会社員がどれだけ恵まていたか」を感じました。
会社員とフリーランス、どっちが良いかというよりも、
『どっちの働き方が自分に合うか?』
が重要だと考えています。
また、知人にも「会社員 → フリーランス → 会社員」というキャリアの人は多くいますので、
『独立を迷っているなら、思い切ってフリーランスになってみる』
のもアリだと考えます。(自己責任でお願いします!)
これからフリーランスになろうと考えている人の参考になれば幸いです。
2022年9月追記
独立してから5年間を振り返ったブログを書きました。
こちらのブログでは5年間の収入の増減を月別で公開していますので、気になる人は一読ください。