ベンチに横たわる猫

以前、ふたむらさんの「地方(名古屋)在住フリーランスがアクセス解析を仕事に食べていくということ」、森野さんの「地方(名古屋)在住フリーランスがアクセス解析を仕事にそれなりに食べてきたつもり」を読んで、私もいつか「東京のフリーランス版」のブログを書きたいなと思っていました。

2022年9月、私はフリーランス6年目を迎えました。

この5年間はコロナ禍の影響で大きな変化もありましたので、今までの活動を振り返えってみようとブログを書くことにしました。

個人の振り返り日記ですが、「リスティング広告運用のお仕事をしている人」や「フリーランスとして独立したいと考えている人」の参考になれば幸いです。



リスティング広告運用のお仕事でいただいた5年間の収入

以前に「フリーランス独立1年目の収入を公開|Web広告運用者のケース」というブログを書きました。

私がフリーランスとして独立してから1年間の活動と収入を公開していまして、複数の人から

『このブログを読んで、私も独立しようと決心しました』

という感想をいただきました。

今回の「東京でそれなりに食べてきたつもり」のブログでも

『私の5年間の収入を公開することで、フリーランスのリアルが伝わるだろう』

と考えました。

ということで、私が独立してから5年間の収入と契約案件数について、月別に集計したグラフを晒します。(セルフガーシーです)

フリーランス5年間の収入

ジェットコースターのようなグラフで、実際に毎日の生活でも絶叫マシーンに乗っているような刺激を味わっています。

2018年のアミジャット(フリーランス1~2年目)

2018年はフリーランス1年目のときで、お客様と直接契約できる案件の獲得に注力できるよう、自分自身に「マージン折半の2次請け案件」や「知人から紹介や依頼された案件」は絶対に受けないという縛りを設けていました。

また、「消費税の免税事業者」の期間を延ばしたかったので、年間の収入が1,000万円を超えないよう案件数も抑えていました。(900万円ほどの収入でした)

2019年のアミジャット(フリーランス2~3年目)

2019年からは「知人から紹介された案件は断る」の縛りを止めました。

フリーランスとして1年も活動していると、

『どうせ独立したばかりで仕事ないんでしょ?経験になるからウチの案件を受けてよ(お友達価格で)』

という人はいなくなり、

『ほんとにリスティング広告の成果に困っていて、アミジャットの田島に依頼したい』

という人だけが声をかけてくれるようになったからです。

複数の案件をお請けした結果、2019年1月の収入を見て

『今年の収入を1,000万円に抑えるのは無理だな。だったらとことん案件を受けてみよう!』

となりまして、今までなら「工数が空いていません」とお断りしていた案件も受けるようになり、収入も大幅に増えました。(2,300万円ほどの収入でした)

2020年のアミジャット(フリーランス3~4年目)

2020年はコロナウイルスの感染拡大が始まった年ですね。

2月の段階で

『今運用しているリスティング広告案件はほとんど終わる…』

と覚悟していまして、実際の収入グラフでも20年8月から大幅に減っていますね。

2020年は新規案件や収入を増やすことを諦め、空いた時間を有効活用しようと、9月からはウェブ解析士マスターの受講をしていました。

まぁ見事に「不合格」でしたが…。

2020年12月は「案件数:1件」「収入:25万円」に減りました。

ただ、この頃には多くの企業でテレワークやWebミーティングの準備が整っていたので、

『コロナ禍だからといって諦めるのはやめよう』

と、今後の新規案件を増やすために、施策を色々と試した12月でした。

某フリーランス(DAN爵さん@NYUSQUARE)からも、

『Twitterで話題になりそうなことをやってみたらどうか?』

とアドバイスをいただき、「#100日以内に死ぬ広告運用者」という、ネタツイートの毎日投稿を始めたのもこの時期からです。

2020年の収入は1,100万円ほどでした。

2021年のアミジャット(フリーランス4~5年目)

2021年は、東京以外のお客様からのご依頼が増えた始めた年となりました。

コロナ禍前までは、地方のお客様の案件を受けるという発想がなかったので、Webミーティングの普及によって、お客様の対象が「全国」に広がったのは、とてもありがたいことです。

また、案件の傾向として「スポットでのリスティング広告運用のインハウス支援」のご依頼が増えてきました。

『代理店に任せているリスティング広告運用を内製化したいので、立ち上げから3~6か月だけサポートして欲しい』

といった案件です。

インハウス支援サービスの“商品化”が上手くできておらず、支援にかかる工数といただく手数料のバランスが取れていなく、案件数は多くなけど忙しいという1年でした。

ちなみに2021年の8月から「サウナコワーキング」にハマりだしました。

2021年の収入は1,100万円ほどでした。

2022年1~9月のアミジャット(フリーランス5年目)

2022年は私が厄年ということもあり、

『仕事は無理せず、体調にだけは気を付ける』

というスタンスで、スローペースで活動しています。

2022年9月現在も、目先の収入を増やすことではなく、2023年からの活動に向けて準備を進めている状況です。

2022年の収入は700万円ほどで着地する見込みです。



東京在住のフリーランスで良かったこと

コロナ禍前は「お客様のところに出向きやすい」が大きなメリットでした。

お客様から連絡があれば、

『では30分後に行きますので、打ち合わせしましょう!』

といったフットワークの軽さを売りにしていました。

また、「Web業界のセミナーや交流会(オフラインイベント)に参加しやすい」も良かった点です。

特にアナリティクス アソシエーション(a2i)の「春の交流会」や「秋の交流会」に参加すると、名刺交換する度に

『あ、Twitterでよく見かける人だ!』

と、テンションが上がりました。

ただ、コロナ禍後はお客様との定例ミーティングもオンライン、セミナーや勉強会もウェビナー形式が当たり前となり、東京在住のメリットは薄くなりましたね…。

また、コロナ禍後は東京以外の地方のお客様からご依頼をいただくことが急激に増えましたが、これは「東京在住のフリーランスだから依頼してもらえた」のかどうかは、正直よくわかりません。

「リスティング広告運用」の仕事でフリーランスになりたい人へ

まず、リスティング広告運用の仕事でフリーランスとして独立することは“簡単”です。

この“簡単”は「参入障壁が低い」という意味です。

『リスティング広告運用できます!』

という競合はたくさんいますので、「専門性」と「独自性」を考えておかないと、「安さで勝負」にの消耗戦になります。

で、私のブログでも「専門性を高めましょう!」や「独自のサービスを提供しましょう!」を書いてもイマイチ面白くないし説得力も弱いので、私の失敗経験を元に「フリーランスとして食べていくために必要なこと」を書いていきます。



その1:注意してくれる人、叱ってくれる人を大切にする

特に「1年目を乗り越えて、案件を受注できるようになってきたフリーランス」にお伝えしたいことです。

フリーランス1~2年目はまず「仕事を受注すること」が難しいです。

そして、これを乗り越えたフリーランスはそれなりにお仕事の依頼が来ますので、次のステップ「限界まで仕事を受ける」に進みます。(アミジャット調べ)

2019年の私がこのステップに進みまして、「案件が来る嬉しさ」と「今後の収入への不安感」から、

『案件の依頼が続くうちに、限界までひたすら稼ごう』

という気持ちで、フルパワーで案件を請けていました。

このときに、「人を雇って仕事を分散する」という選択肢を取れればいいのですが、私は人に仕事を任せるのが苦手なため、「全てを1人でやる」の状態でした。

で、このまま進むとどうなるかというと、一言で

『おかしなテンションで調子に乗る!』

です。

仕事量が増えているのでストレスも大きくなっている状態なのですが、収入も増えているためアドレナリンが出てしまい、自分自身でもストレスに気づかないまま暴走し、実際にお客様や家族にもご迷惑をかけました。

ここには書けないぐらいの「やらかし」がたくさんあります…。

ご迷惑をおかけした皆様には、本当に申し訳ないことをいたしました。

落ち着いた今だから過去を振り返って反省もできますが、当時は「調子に乗っている状態」なので、自分の行動の異常さに自分で気づくことはできませんでした。

自分で案件を獲得してバリバリに働き、サラリーマン時代よりも収入が何倍にも増えれば、「調子に乗らない」方が難しいです。

で、この「変なテンションで調子に乗っている暴走モード」のときに、

『最近おかしいですよ』

と注意してくれる人、

『人としてだめですよ!』

と叱ってくれる人がいたら、大切にしてください。

普通の人なら「暴走モードの赤の他人」に関わろうとは思いません。

むしろ「調子に乗っている奴が、失敗して落ちていく様子を楽しむ」という人の方が多いでしょう。

フリーランスは孤独で、すべての行動は自己責任です。

そんなフリーランスに対して、アドバイスや注意、お叱りをしてくれる人に巡りあえたら、感謝しましょう。

私は2020年の初頭に猛反省するきっかけがあり、またコロナ禍の影響で仕事量も減ったため、「暴走モード」を止めることができました。

フリーランスは「少し尖っている」ぐらいの個性や強気な姿勢がないと生き残れない部分もありますが、度を越えた「尖り」は周囲の人たちを傷つけるだけです。

“インドの虎”の異名を持つヒールレスラーのタイガー・ジェット・シン選手も、サーベルを使った攻撃をしますが「柄の部分で殴る」だけで「サーベルで刺す」ことはしません。

繰り返しになりますが、「調子に乗って暴走してる自分」に自分で気づくことはなかなかできません。

『この人の言うことは真摯に受け止めよう』

と尊敬できる人に出会えるかで、フリーランスとして長く食べていけるかどうか変わります。



その2:メンタルが落ちているときは「休む」と決める

これも「1年目を乗り越えて、案件を受注できるようになってきたフリーランス」にお伝えしたいことです。

というか1年目は必死に手を動かして収入を増やさないと生活できませんから、メンタルが落ち込む暇がありません。

海に放り出されておぼれているときに『テンション上がらないわ…』ってなりませんよね。

1年目を乗り越えて「収入が安定してきて、貯金もできて余裕がある状態」になると、ふとした瞬間にメンタルが落ち込むときがやってきます。

私は2020年の3月と2022年の5月にメンタルが落ち込みました。

最初にメンタルが落ち込んだ2020年は、2月頃から毎日コロナのニュースばかりで精神的に疲弊していまして、3月になって「コロナで今後の収入が減っていく絶望感」「ステイホーム生活での閉塞感」「志村けんさんが亡くなったショック」などが重なり、何もやる気がでないという状態になりました。

このときは、

『最低限のことだけやろう…』

と決めて、平日の朝だけ管理画面のチェックと運営堂メルマガを読んで、残りの時間はベッドに横になるだけの生活を1週間ほど過ごしました。

幸いなことに、「朝の管理画面チェック」と「運営堂メルマガを読む」は、「喉が渇いたら水を飲む」ぐらいに習慣化していたので、辛いと感じることはありませんでした。

もし、『管理画面を見るのも嫌だ…』になっていたら、フリーランスとしての活動も終わっていましたね。

ちなみに、この2020年2月~4月の時期は、Twitterを見ることもしんどく感じてきたので、スマートフォンからTwitterアプリを削除して閲覧できないようにしていました。

1週間も休んでいると、さすがにメンタルも回復し、Twitterも再開するようになりました

そして4月に久しぶりに投稿したツイートがコチラ。

なかなか深いツイート内容ですね。

そして、次にメンタルが落ち込んだのが2022年5月です。

このときも2020年3月と状況が似ていて、「収入が減少」「上島竜兵さんが亡くなったショック」が重なり、急にやる気が出なくなりました。

ただこのときは、20年3月の経験から「とりあえず休めば治る」と開き直り、最低限の仕事だけして、残りの時間はNintendo Switchの「アサシンクリード:エティオコレクション」を購入して、ひたすら遊んでいました。

もともと2022年は無理をしないと決めていたので、思い切って開き直れました。

ここまで長々と書いて何が言いたいのかというと、人によって違いはあると思いますが、メンタルが落ちるときって「自分に嘘をついたとき」なんですよね、少なくとも私の場合は。

『集客するために今月はブログを最低2本は書くぞ!』

『あれ、なぜか書けない…。明日は場所を変えてみようか』

『あれ、今日はコワーキングスペースにきたのに、まったく集中できない…』

『今月もブログ更新できなさそう…』

みたいなループで焦ったり、できない自分にガッカリして落ち込むんですよね。

なので、

『絶対に休む!絶対にブログは書かない!』

って決めると、目標達成できるのでメンタルの回復も早くなります。

メンタルが落ち込んでいるときは、中途半端に頑張って焦ってしまうよりも、ゆっくり休んだ方が良いです。



その3:自分のホームページを持つ(最初は自分で作ってみる)

『依頼はTwitterのDMで受けているから、ホームページは不要です』

とういうフリーランスの方も多いですが、独自ドメインを取得して自分のホームページを持つことをオススメします。

特に「WordPressでホームページを自作する」にチャレンジしてください。

まず、「ホームページ制作やWeb集客に必要な知識を実体験で覚えることができる」というメリットがあります。

ちなみにアイレップではSEOチームに配属された新卒に対して「0からホームページを立ち上げる」という課題をだしています。(2020年の情報)

社内研修で、Webサイトを自分でゼロから作って運営しなさいという課題を出しています

引用元:SEOの学び方(新卒入社者向け) - SEMリサーチ

実際に手を動かしてみて分かることがあるのです。

また、「ホームページから新規案件のお問い合わせが届く」というのも大きなメリットです。

私が5年間でお請けした案件の8割は、「ホームページからのお問い合わせ」から受注しています。

そして、別の視点でのメリットは、「ホームページがあると、賃貸物件などの審査に通りやすくなる」です。

フリーランスは会社員に比べて、賃貸物件など審査が通りにくいです。

審査に通るため、確定申告書や納税証明書、貯金通帳の残高コピーまでも提出するケースがあり、「個人事業主としてホームページを持っているか?」も意外と重要な判断要素となる場合があります。

独自ドメインのホームページを持っているメリットは多いので、是非ホームページを用意してください。



その4:税金に対する知識を持つ

フリーランスの業務は「役務を提供する」だけではありません。

会社の経理部が行う業務も自分自身で行う必要があります。

特に「税金」に対する知識を持っていないと、大きな損をします。

私の場合、「消費税の納税」についてちゃんと調べていなかったため、「簡易課税制度」があることは知っていましたが、「事前に申請が必要」ということを分かっておらず…。

2021年分の消費税の納税で「簡易課税制度」を使えていれば納税額は45万円だったのに、申請をしていなかったため85万円の消費税を納税しました。(差額40万円ですね…)

上記の「節税に失敗した」ぐらいなら、勉強代だと思えばいいのですが、2023年10月からは「適格請求書保存方式(インボイス制度)」が始まり、この対応を間違えると最悪の場合、

『取引先からの契約を打ち切られてしまう』

という可能性も出てきます。(ド素人の私の考えですが、「下請法」とかで急に契約を打ち切りにすることは難しいので、23年4月ぐらいに企業側で取引先の見直しがあるでは、と予想しています)

ちなみに税務署に税金の手続きについて質問に行くと、丁寧に説明してくれます。

税金周りの知識を身につけて、必要であれば税理士に相談や業務の委託を行いましょう。



その5:週次or月次で振り返りをメモする

私はnoteを活用して、毎月の振り返りを行っています。

最初は「週次」で振り返りを書いていたのですが、

『あ、これは続かないわ』

と気づき、月次の振り返りに変えました!

noteでは「ホームページの数値」「お問い合わせ数」「活動したこと」「その他(最近は「サウナのレビュー」)」を簡単にまとめています。

今回のブログを書きながら

『あれ?この時期ってどんなことしていたっけ?』

と気になったとき、noteの活動記録を見返したおかげで、意外な気づきもありました。

お客様へのレポートには毎月の数値や実施した施策などをまとめていると思いますが、自分のこととなるとついつい後回しにしてしまいます。(私も「21年5月~12月」のnote更新をサボっていました)

noteで公開する必要はないですが、「自分自身の月次レポート」を作成しておくと、後から役に立ちます。



まとめ

フリーランスは「自転車操業」です。

自転車は険しい坂道を上るときには、一生懸命にペダルをこがなければいけません。

逆になだらかな道では、勢いがついていればペダルをこがなくても前に進みます。

また、無茶をしてペダルをこいでも、チェーンが外れたり、タイヤがパンクすることもあります。

長く走り続けることを考えて、「自転車操業」を続けていきます。

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