『webマーケティングに力を入れたいけど、何から始めたらいいのだろう…』と考えることはありませんか?
webマーケティングは事業規模に関わらず、中小企業や個人事業主にとっても事業の成長に重要な要素です。
しかしwebマーケティングを始める企業の中には、「サイト制作」「リスティング広告」「ソーシャルメディア」などの「施策」だけに目が行ってしまい失敗するケースが多いです。
webマーケティングで大切なことは、リスティング広告などの「施策」を行う前に、マーケティングの基礎である「ターゲットの把握」を自社内で行うことです。
そこで今回は「ターゲットの把握」に役立つマーケティングの基礎フレームワーク「SWOT分析」と「ペルソナ」について、誰にでも簡単に実施できる方法を解説します。実施例として、私をサンプルとした「SWOT分析」も紹介しています。
孫子の兵法
「孫子の兵法」は中国春秋時代(漫画「キングダム」の時代ですね)に書かれたとされる、戦いに勝つための兵法書です。
現在のwebマーケティングにおける大切なポイントと共通する点が多くあり、ビジネス書などでも引用されることも多いです。
戦略なきは座して死を待つがごとし
マーケティングでは「戦略」と「戦術」の違いを把握するこが重要です。
「戦略」は目標達成をするための全体的なシナリオを指します。
- そもそもの目標は何か?
- 誰がターゲットなのか?
- 何を訴求するのか?
などです。
それに対して「戦術」は目標を達成するための具体的な手段です。
- サイトを制作する
- SEO施策を行う
- リスティング広告を出稿する
- SNSを利用する
などです。
webマーケティングが上手くいかない企業様に多い共通点は、「戦術」の部分だけを考えていて、自社内で「戦略」を考えずに外部の代理店やコンサルタントに丸投げしてしいることです。
消費者がモノを選ぶ時代です。
「誰に何をどうやって伝える」を考えなければ、どんなにサイト制作やリスティング広告などの「戦術」にお金をかけても上手くいきません。まさに『死を待つがごとし』です。
この「戦略」が自社で行われていない場合、どんな施策を行っても成果も出ない可能性が高いです。代理店側でのマーケティング業務と、事業者側でのマーケティング業務に携わってきたので、事業者側で「ターゲットの把握」を行うことの大切さを痛感します。
敵を知り己を知れば百戦危うからず
これも孫子の兵法で有名な言葉です。この後に説明するマーケティングのフレームワーク「3C分析」や「SWOT分析」に通じる考え方です。
リスティング広告のインハウス支援で行っていること
『リスティング広告の代理店手数料が高いから、自社内(インハウス)で運用したい』というご相談も増えてきました。
インハウス支援を行う際、リスティング広告は「戦術」でしかないので、まずは「戦略」についての考え方を覚えていただいています。
実際にリスティング広告のインハウス支援を行っているクライアント様には、3時間×8回の座学を実施していますが、最初の3回はマーケティングの基礎について研修しています。特に「SWOT分析」や「ペルソナ」を作るワークショップに重点を置き、実際にクライアント様側で作っていただいています。
アカウント構造やキーワードの抽出、入稿方法などといったリスティング広告運用の実務は、クライアント様側で戦略をイメージできるようになってから研修します。
リスティング広告運用の実務だけをインハウス化しようとすると、ほぼ失敗します。インハウス化すべきものは「マーケティングの考え方」です。
今回紹介するフレームワークの「SWOT分析」と「ペルソナ」は、実際にクライアント様に研修している内容とほぼ同じものです。
マーケティングのフレームワーク
フレームワークとは、分析が誰にでも簡単に行えるよう用意されたテンプレートのようなものです。「3C分析」や「SWOT分析」もマーケティングのフレームワークの1つです。
誰にでもできるように作られているからこそ「フレームワーク」ですので、「3C分析」や「SWOT分析」も身構えることなく取り組んでみてください。
自社でフレームワークを実施するときのポイント
事業規模やマーケティングに関わる人員にもよりますが、自社でフレームワークを実施するときのポイントは「時間をかけすぎないこと、精度を求めすぎないこと」です。これは、代理店側から事業者側のマーケティング担当になった方が失敗するパターンの1つです。
代理店が作る「SWOT分析」などのフレームワークは、まず案件を取ることを目的としているので、初期提案の分析に時間をかける傾向があります。表の作り方などのアウトプットにも拘ります。
事業者側の「SWOT分析」や「ペルソナ」は、施策の方向性を見直したり代理店をハンドリングすることを目的にします。
立てた仮説の半分以上は外れます。また時間が経てば市場も変わり、分析結果も変わります。そのため、最初から完璧な「SWOT分析」や「ペルソナ」を作ることよりも、施策行いながら「SWOT分析」や「ペルソナ」を作り直していくことが重要です。
最初に時間をかけた壮大な分析資料を作ると、その後の見直しになかなか手を出せなくなります。また、時間をかけて作り直すことが大変なので。
これは、リスティング広告のアカウント構造のhagakureの考え方と同じだと感じます。
フレームワークは「まず作ること」を重視して、施策の結果を見ながら後から変更するものだと割り切り、時間をかけすぎずに取り組みましょう。
3C分析とは
マーケティングのフレームワークで最も基本的な考えとして使われるものが「3C分析」です。
「Customer:市場・顧客」「Competitor:競合」「Company:自社」の3つの頭文字Cを取っており、この3つの視点から分析していくフレームワークです。
簡単に言ってしうまうと「顧客が欲しがっていて、競合が提供できていないものを、自社が提供できれば売れる」という考えをベースに、「顧客が欲しがるものは何か?」「競合のサービスはどんなものがあるか?「自分たちが提供できるサービスは何か?」を掘り下げていきます。
「孫子の兵法」の『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』です。
ただ、次に紹介する「SWOT分析」の方が取り組みやすいフレームワークで、「3C分析」も踏まえているため、私は「SWOT分析」から取り組むことをお勧めしています。
SWOT分析とは
「外的要因(顧客や競合など)」と「内的要因(自社)」について、優位な点と不利な点をピックアップすることで戦略が見えてくるというフレームワークです。「Strength:強み」「Weakness:弱み」「Oppurtunity:機会」「Threat:脅威」の頭文字から「SWOT分析」と呼ばれ、2×2のマトリクス表で作ります。
Strength:強み
自社サービスが競合に比べて優位性をもつものは何か?(価格、対応など)
Weakness:弱み
自社サービスの欠点は何か?
競合と比べて劣る点は何か?
Oppurtunity:機会
お客様が求めているニーズは何か?
競合が見過ごしているニーズはないか?
Threat:脅威
自社にとって弊害になる可能性がある事柄は何か?
アミジャットのSWOT分析
クライアント様へのインハウス支援の際は、例として自分(アミジャット)のSWOT分析を用いて説明しています。
私が説明しやすいからという点もありますが、個人事業主(フリーランス)の規模でもこれぐらい戦略は簡単に作れるということが伝わりやすいので、自分の「SWOT分析」を例にしています。
2017年11月時点でのアミジャット「SWOT分析」は、表にまとめるとこんな感じです。
アミジャットの「強み」
「強み」と言うほどの大した経験はないのですが、以下の内容をピックアップしました。
- 法律事務所など「士業」に関する案件が得意。
- Googleアナリティクスや、タグマネージャー、LPOの支援ができる。
- 個人事業主(フリーランス)なので、クライアント数を絞り、1クライアントに対して時間をかけた対応ができる。
- 「代理店」「事業者」両方の実務経験があるので、実務のレベルに合わせた現実的なマーケティング支援ができる。
ちなみに「リスティング広告の運用が得意」というのは当たり前のことなので「強み」に含めていません。
アミジャットの「弱み」
多々ありますが、いくつかピックアップしました。
- 知名度がない。
- DSPやオフライン広告といった様々な広告媒体の実施は、対応が難しい。
- 正規代理店と比べ、社会的信用が低い。個人事業主(フリーランス)との取引不可の企業もある。
- 正規代理店と比べ、媒体情報やトレンドなどが収集しにくい。
アミジャットの「機会」
リスティング広告業界の状況や労働環境からピックアップしました。
- リスティング広告を実施したい企業(特に中小)は多い。
- リスティング広告の運用者の数が少なく、特に予算が少ないクライアント対して満足な対応ができない代理店が多い。
- インハウスでリスティング広告を行いたいとういニーズが増えている。
アミジャットの「脅威」
日々、「脅威」と戦っています。
- 「リスティング広告は正規代理店に依頼する」という傾向が強い。
- リスティング広告の運用代行を行う企業は、正規代理店以外にも多数ある。
- 「薄利多売」で手数料の安さを売りにする代行企業がある。
SWOT分析からの見えてくる「戦略」
「SWOT分析」で考えることは、「強み」と「機会」をどう活かすか?「弱み」と「脅威」をどう補う(避ける)か?です。
それぞれピックアップした事項に対して、何をすべきか案を出していきます。
簡単にまとめた表がこちらです。
まず、大きな代理店と正面から戦っても勝ち目はないため、ターゲットとなるクライアント様の事業規模は中小企業や個人事業主、広告の予算規模も月額100万円以下の大手企業が手間をかけない層に絞ります。
弁護士や医者といった「士業」は自分の経験も活かせ、事業規模もターゲット層に合うため、「戦略」の中で重点を置くべきポイントの1つは「士業に特化」です。
「戦術」に落とし込みと、
- 士業向けのスタートアッププランを用意する。
- 士業向けのマーケティング記事を書く。
- 士業の交流会に参加する。
などが考えられます。
そして「インハウス支援」も重点ポイントの1つです。
「インハウス支援」は運用代行よりも工数がかかるので、通常の代理店ではなかなか提供できないサービスだと考えています。私自身も「インハウス運用」を実際に行っていたので、ノウハウを活かせるポイントです。
また「SWOT分析」からは、逆にやってはいけこともとも見えてきます。
私の場合は「手数料を安くする」という戦略です。フリーランスで対応できるクライアント数は限られているため、薄利多売の戦略では勝ち目はないです。
このように「SWOT分析」から「戦略」の方向性が見えてきます。
『この程度のことは、常に頭の中で考えているよ』と思われるかもしれませんが、「戦略」をアウトプットして社内で共有することが大切です。
実際に複数名のワーク形式で「SWOT分析」をやっていただくと、各自が自社サービスを色々な視点でとらえていることが見えてきます。「社長は多機能を売りだと考えているのに、社員は安さが売りだと考えていた」などはよくあります。
ペルソナとは
「SWOT分析」によって「戦略」の方向性が見えてきたら、ターゲットとなる理想のお客様を具現化していきます。これを「ペルソナ」と言います。
「ペルソナ」で理想のお客様像を具現化することで、このお客様にはどうアプローチしたらよいのか「戦術」を具体的に考えることができるようになります。
「ペルソナマーケティング」の事例を調べると、かなり詳細まで設定したペルソナを作成されています。ただ、私は『分析に時間をかけすぎない』ことが重要だと考えており、ペルソナの作成も「プロフィール」「背景、心理状況」「検索キーワード」の3項目から考えて作ることをお勧めしています。
まとめ
「SWOT分析」や「ペルソナ」は、実際にお客様やサービスに接している人でなければ、正しいアウトプットも出てきません。
「戦略」がしっかりしていれば、「戦術」も正しい選択ができるようになります。
『リスティング広告を出そう』や『SNSをやってみよう』といった「戦術」だけに目をやらず、まずは「戦略」から考えたマーケティング活動に取り組みましょう。