自分でリスティング広告を運用してる方、または代理店にリスティング広告の運用をお願いしている方も、今のリスティング広告の運用が正しく行われているか気になると思います。
リスティング広告(検索連動型広告)について、「キャンペーン」、「キーワード」、「検索クエリー」のデータだけで、自分自身で出来るアカウント診断方法を紹介します。
このアカウント診断の目的
リスティング広告の運用で「無駄なことをしていないか?」と「効率が良いこと、伸びしろはないか?」を確認することを目的としています。高度な運用テクニックを行っているかではなく、まずは基礎が正しくできているかを確認します。
私は月間レポートを作成する際に、今回紹介する方法でセルフ診断しています。
『下手糞の上級者への道のりは己が下手さを知りて一歩目』
桜木花道は、自分がシュートした姿を撮影したビデオを何度も見直すことで、誰もが驚くジャンプシュートを習得しました。
リスティング広告の運用も、今の広告運用が完璧なものだとは思い込まず、基礎の部分が正しくできているかをチェックして、さらなる成果向上を目指しましょう。
スラムダンクが読みたくなってきました。
アカウント診断に必要なデータ
今回紹介するアカウント診断で必要なデータはこの3つだけです。
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- キャンペーンレポート
- キーワードレポート
- 検索クエリー(関連語句)レポート
管理画面から目視で簡単にチェックすることが可能です。もちろん、管理画面からCSVデータをダウンロードして確認することも可能です。
もしも代理店がアカウント画面を見せてくれない場合
まずは、代理店に上記3つのCSVデータについて、前月の1ヵ月分だけでいいので貰えないか依頼してみましょう。
なるべく代理店に角が立たないように依頼したいときは「上司から『リスティング広告のこと勉強しろ』と言われてしまって、ちょっと細かなデータを見せて欲しい」と相談してみてください。
それでもCSVデータを渡してくれない代理店は優しくないので、リスティング広告の運用自体を別の代理店に相談しましょう。
関連記事:リスティング広告代理店の選び方
アカウント診断でチェックする7項目
各項目について、細かな数値までを全てチェックしようとすると、あまりにも時間がかかってしまいます。このアカウント診断では、影響が大きい上位の数値だけを確認していきます。
項目1:クリックコストTOP30キーワードの「完全一致」の数
コストが発生しているキーワードについて、「完全一致」でクリックを集めているのか、それとも「部分一致」などによってクリックを集めているかを確認します。
部分一致キーワードなど、完全一致以外のマッチタイプは、広告が表示される検索クエリーの対象が広いです。完全一致以外のマッチタイプでクリック数(コスト発生比率)が多い場合、広告と関連性の低い検索クエリーでクリックが発生している可能が高いです。
また、クリックは完全一致のキーワードで集めた方が、「検索クエリー&登録キーワード&表示広告」のブレが減り、クリック率も上がる傾向です。それにより、キーワードの品質スコアの向上も期待できます。
クリックコストTOP30キーワードのうち、15キーワード以上を完全一致キーワードで占めることを目標値としています。
管理画面からの確認方法
「キーワード」タブ⇒「費用」で並び替え。
改善するための施策案
完全一致以外のマッチタイプキーワードの検索クエリーを確認し、完全一致で登録すべきキーワードと除外すべきキーワードを選定して登録していきます。
また、入札額についても高く設定しすぎていないか確認します。
項目2:コンバージョン0キーワードのコスト比率
コンバージョンに繋がっていないキーワードで、無駄なクリックを発生させていないか確認します。
検索連動型広告をクリックした後に、リターゲティング広告で流入してコンバージョンしている可能性もありますので、一概にコンバージョン0のキーワードが無駄とは言い切れませんが、目安としてコンバージョン0キーワードの総コストが、全体コストの50%以下になっていることを目標値にしています。
管理画面からの確認方法
「キーワード」タブ⇒フィルター機能で「コンバージョン<1」を適用⇒フィルターした合計コストを総コストで割る。
改善するための施策案
コンバージョン0で発生コストが多いキーワードの検索クエリーを確認し、無駄な検索クエリーでクリックが発生している場合は除外キーワード登録を行います。
また、検索クエリーの傾向によっては、そもそもこのキーワードで広告を表示させる必要か検討し、状況によってはキーワードの停止を行います。
項目3:表示回数TOP10キーワードのコンバージョン発生
コンバージョンに繋がっていないキーワード(特に部分一致キーワード)で、無駄な広告を表示をさせていないか確認します。
表示回数順で並べると、主に部分一致キーワードが上位に並ぶと思います。部分一致キーワードを意図通りに使えているか、それとも暴走しているかを確認します。無駄な広告表示が多いほど、クリック率は下がりますので、キーワードの品質スコアについても向上が見込めません。
管理画面からの確認方法
「キーワード」タブ⇒「表示回数」で並び替え。
改善するための施策案
コンバージョンが0のキーワードについて検索クエリーを確認し、無駄なクエリーは除外キーワード登録を行います。
また、広告表示されている検索クエリーの幅が広すぎる場合は、この部分一致キーワードの入札が高すぎないか、そもそもこの部分一致キーワードを使う必要があるのか検討します。
項目4:除外キーワードの設定状況
関連性の低い検索クエリーで広告が表示されていないか確認します。
管理画面からの確認方法
「キーワード」タブ⇒「検索語句」⇒「表示回数」で並び替え。
「キーワード」タブ⇒「検索語句」⇒「クリック数」で並び替え。
「キーワード」タブ⇒「検索語句」⇒「コスト」で並び替え。
※3パターンそれぞれで確認します。
改善するための施策案
検索クエリーの傾向は日々変わります。
ニュースなどの影響で、想定していない検索クエリーで急にクリックが発生することも多いです。法律事務所の「労働問題」の案件では、広告代理店の労働問題のニュースによって、「代理店名 労働問題」のような検索クエリーで急激にクリック数が増えました。
除外キーワードの登録は日々の運用で行っていると思いますが、アカウント診断でも改めて確認しましょう。
項目5:コンバージョンTOP10クエリーのキーワード登録状況
コンバージョンが発生している検索クエリーを、キーワードとして登録できているか確認します。キーワードの登録漏れがあると、コンバージョンにつながる検索クエリーに対して広告をスムーズに表示できていない可能性があり、成果向上が見込めません。
管理画面からの確認方法
「キーワード」タブ⇒「検索語句」⇒「コンバージョン」で並び替え。
改善するための施策案
未登録の検索クエリーを完全一致キーワードで登録していきます。
検索クエリーの内容によっては、完全一致以外のマッチタイプでもキーワードを登録します。
項目6:予算によるインプレッションシェア損失
キャンペーン予算の上限設定によって、機会損失をしていないか確認します。
予算によるインプレッションシェア損失の理想は0%です。ただ、コンバージョンオプティマイザーを利用しているときは、目標値を変えてしまうとAIの学習もリセットされてしまうため、予算消化をキャンペーンの予算設定で抑制することもあります。
そのため予算によるインプレッションシェア損失の目標値は10%以下としています。
管理画面からの確認方法
「キャンペーン」タブ⇒表示項目の「競合指標>検索広告のインプレッション シェア損失率(予算)」を確認。
改善するための施策案
現状のCPAが良好な場合、キャンペーン予算の上限を上げるだけでCPAを維持したままコンバージョン数を増やせる可能性があります。
予算の増額を検討(提案)します。
現状のCPAが悪い場合、予算に対して無駄な広告表示やクリックが発生している状況です。
無駄な広告表示やクリックを減らすため、予算に合ったキーワード数にアカウント構成を変えます。(無駄なキーワードを停止する)
また、広告表示やクリックを減らすため「無駄なキーワードの入札を下げる」という方法もありますが、私の場合は「キーワードの停止」を先に検討します。
コンバージョンオプティマイザーを使うことが多いので、入札の変更よりもアカウント構造の変更の考え方が強い感じです。
項目7:広告ランクによるインプレッションシェア損失
この項目で、アカウント構成が正しく設計できているか確認します。
広告ランクによるインプレッションシェア損失が多いほど、自アカウント内の広告グループ間で競合が発生している可能性が高いです。
これは「hagakure(ハガクレ)構造」の話にもつながるので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
関連記事:hagakure構造について
広告ランクによるインプレッションシェア損失が20%以下となることを目標値としています。
管理画面からの確認方法
「キャンペーン」タブ⇒表示項目の「競合指標>検索広告のインプレッション シェア損失率(広告ランク)」を確認。
改善するための施策案
キャンペーンや広告グループを分けていることで、それぞれに登録している部分一致キーワードがケンカしている状態です。
キーワードがケンカしないように、キャンペーンや広告グループを統合して、シンプルなアカウント構成にできないか検討します。
また、どうしてもキャンペーンや広告グループを分けて運用する必要がある場合は、それぞれの広告グループに他の広告グループに登録したキーワードを除外設定して、競合が発生しないように調整します。
もっと詳しく診断したい
今回は、検索連動型広告に絞ったアカウント診断です。
アカウント診断で確認したいポインは、この項目以外にも
・完全一致のインプレッションシェア
・デバイス調整をしているか?
・配信スケジュールを調整しているか?
・広告表示オプションを設定しているか?
・検索広告向けリマーケティング リスト(RLSA)を活用しているか?
・広告のABテストを実施しているか?
・広告カスタマイザーを活用しているか?
・LPのABテストを実施しているか?
・動的検索広告(DSA)を活用しているか?
・コンバージョンオプティマイザーを活用しているか?
など、様々あります。
また、GDNやYDNも、ターゲット設定が正しく行われているか、チェックポイントは多くあります。
できるところからアカウント診断を行いましょう。
まとめ
まずは
・キャンペーンレポート
・キーワードレポート
・検索クエリー(関連語句)レポート
の3つの数値があれば、大まかですがアカウント全体で適切な運用ができているか診断を行うことが可能です。
紹介した診断は、リスティング広告運用の基本的な部分についての診断になりますが、何事も基本が大事ですので、管理画面を眺めるついでにアカウント診断を実施してみてください。