『リスティング広告の運用ってどこの代理店に依頼すればいいの?』と選び方に悩むことはありませんか?
「リスティング広告 代理店」で検索すると、様々なリスティング広告の相談先が見つかりますが、ホームページに書かれている情報だけで依頼先を決めるのは難しいですよね。
私はリスティング広告運用の仕事を、「リスティング広告専門の代理店」⇒「インハウス運用者」⇒「フリーランス(現在)」と、立場を変えながら今でも従事しています。
本来なら、私の立場上
『リスティング広告運用は、フリーランスの私にご依頼ください!』
とお伝えしたいところですが、
『まずは「リスティング広告代理店」に依頼してみたい』
という人の方が多いかと存じます。
そこで今回は私の経験を元に、同業者が本音で「リスティング広告代理店を選ぶポイント」を紹介します。
目次
良いリスティング広告運用代理店とは?
経験を元に結論から言うと、「良い運用会社かどうかは、会社ではなく運用担当者のノウハウで決まる」です。
同じリスティング広告の運用代理店にも関わらず、「A社の運用は良かった」と「A社は成果が出なかった」と、評価が異なるケースがあります。
それは、リスティング広告の成果が運用会社ではなく運用者のスキルで決まるためです。
もちろん、それぞれの代理店は提供するサービスの質を均一にするため、社内勉強会やノウハウの共有化・ルール化を進めています。
しかし、案件によって運用で見るべきポイントも変わるため、マニュアル化できないノウハウの部分は、運用者のスキルや経験に依存することが多いです。投資信託などの金融商材の成果が、運用するファンドマネージャーの能力に依存するのと同じです。
また、そもそもリスティング広告運用会社の離職率は高いため、リスティング広告運用の経験が浅い方でも複数のアカウントを担当しなければならないという現実もあります。
そのため、評判の良い大手の代理店でも、たまたま経験が浅い担当者が付いてしまった場合は成果が出ない可能性があります。また、運用していた方が辞めてしまい担当者に変わったことで、成果が落ちてしまったということもよく聞く話です。
リスティング広告の運用会社を選ぶことが難しい理由は、担当する運用者のスキルに左右されてしまう点にあります。
初めてリスティング広告の運用代理店を選ぶときにチェックしたいポイント
リスティング広告の成果は運用する担当者のスキルできまりますが、それは実際に依頼して運用をお願いしてみないと分かりません。
良い運用担当者に巡り合えるかどうか。その可能性を高めるためのチェックポイントを紹介します。
チェックポイント1:リスティング広告の運用ブログ
運用ノウハウのブログを更新しているかどうかは、社内に運用ノウハウがどれだけあるかを判断できるポイントです。
また、ブログ更新を行えるということは、それだけ業務にゆとりがあり、運用担当者もアカウントに向き合う時間が多いと思われます。
サイト上で「成果を出します」と書いているだけの代理店よりは、ブログで運用ノウハウを公開している代理点の方が信頼できます。
チェックポイント2:正規代理店
正直、正規代理店かどうかは、あまり関係ないといった印象です。
広告運用をしている法人企業であれば、手続きをすれば取れるものなので。
私は、「正規代理店です」を売りにしている代理店は、逆にそれしか売りがないと判断していました。
チェックポイント3:Yahooの認定パートナー
昔は星の数で評価していましたが、2017年4月から制度が変わり「ダイヤモンド」や「ゴールド」などで評価されるようになりました。
Yahoo!への出稿金額で決まってしまう部分もあるので、ランクが高いからといって良い運用をする会社だとは言い切れません。
ただ、Yahooの認定パートナーの評価制度には、出稿金額以外にも「社内のYahoo!資格の保有者数」などの条件もあります。
「評価が低いよりは高い方が良い」程度の参考にはなると思います。
参考:Yahoo! マーケティングソリューション「認定パートナー一覧」
チェックポイント4:社員の年収、離職率
私が法律事務所のマーケティング担当になったとき、当初はリスティング広告を代理店にお願いしようと考えていました。(ただ、法律サービスの特性もあり代理店に依頼することが難しく、結局は自分でリスティング広告を運用することにしたのですが)
私がリスティング広告代理店を選ぶときに、最初に確認したポイントが、その代理店の社員の年収、離職率です。
転職サイトに掲載されている年収などの条件や、退職者の口コミサイトでの評価を参考に、社員の定着度や給与を分析しました。
同じ業界にいましたので、「売上」「社員数」「給与」「離職率」から、「どれぐらいの経験の運用者が、1人で何クライアントを担当しているか」など、運営体制がおおよそ想像できます。
代理店にいた経験からの個人的な意見ですが「離職率が高い代理店会社は、担当者自身がリスティング広告の運用を楽しめていないので成果も上がらない」と思います。
リスティング広告運用代理店のサービス内容、料金についてチェックしたいポイント
手数料などは数字で比較しやすいポイントです。
また、金額以外にもサービスの対象範囲も確認しましょう。
チェックポイント5:リスティング広告の運用手数料
手数料のパターンは大きく分けて、「出稿金の〇%」という使った金額で変動型のマージン制の場合と、出稿金額テーブルに沿った固定手数料の場合があります。
変動型のマージン制の場合は、代理店側も予算を使わないとマージン手数料が減ってしまうため、予算消化が優先になってしまうケースもあります。
だからといって、固定制で安い金額を設定している代理店が良いとも限りません。
安さを売りに成約をして、掲載開始後は何も運用しないというケースもあります。
月額手数料に対して、どのようなサービスを提供するかを正しく判断しましょう。
また、そもそも手数料を明確に表記していない代理店は避けた方がよいでしょう。
関連ブログ:リスティング広告の手数料を「工数見積」から算出してみた
チェックポイント6:リスティング広告の最低出稿金額
リスティング広告の仕組み自体は小額から開始できますが、運用代理店では最低出稿金額を設けている場合があります。
例えばマージン手数料が20%の場合、5万円の出稿金額では手数料1万円となってしまい、運用担当者にかかる人件費と手数料の収益が見合わないためです。
自社の予算規模に合う代理店かどうか確認しましょう。
チェックポイント7:リスティング広告の掲載に必要な初期費用
代理店によっては、相談から掲載開始までにかかる提案やアカウント設計、入稿作業に対して、「初期費用」が発生する場合があります。
「月額手数料が安いと思ったら、初期費用が高かった」という場合もありますので、料金の仕組みはしっかり確認しましょうか。
チェックポイント8:リスティング広告の契約期間
契約期間に縛りを設けている代理店もあります。
リスティング広告の成果が出ていなかったり対応が悪いなどの理由で代理店を変えたい場合、契約期間に縛りがあると変更できなかったり違約金が発生することも考えられます。
リスティング広告は、成果が安定して出るまで時間がかかりますので、契約期間に縛りを設ける気持ちもわかります。
とはいえ、成果が出るまで誠実に対応をしていれば、急に他社に切り替えるという事態にはならないはずなので、あまりにも長すぎる契約期間の縛りは避けた方がよいでしょう。
チェックポイント9:リスティング広告アカウントの開示
リスティング広告アカウントを共有不可としている代理店は多いです。
表向きの理由は「アカウントの中身を真似されて、ノウハウが流用されることを防ぐ」です。
本音の理由は「運用について”的外れな”指摘をされたくない」です。
クライアント様からアカウントの数値を元に指摘や質問をいただくことは問題ないのですが、たまに的外れな指摘や要求をするクライアント様がいて、数値が悪化したり運用現場が混乱することがあります。
そのためアカウントを開示しない代理店が一概に悪いとは言いきれません。
まず「アカウント開示してもらえるか」と、「アカウント開示が不可の場合は、運用状況をどう共有するのか」を確認しましょう。
チェックポイント10:レポーティングの内容、対応頻度
レポートの内容や粒度、また進捗共有の頻度を確認しましょう。
対面での打ち合わせが定期的に行われるかも合わせて確認しましょう。
チェックポイント11:アクセス解析たLPOなどリスティング広告以外の対応
リスティング広告の出稿は1つの手段でしかありません。
リスティング広告の成果が悪ければ、SNS広告など別の出稿も検討する可能性もあります。
また広告だけでなく、ランディングページの改善やサイトのアクセス解析についても相談したいケースもあるかと思います。
- 出稿できるweb広告の種類
- ランディングページの改善(LPO)
- エントリーフォームの改善(EFO)
- アクセス解析
- SEO施策
- タグマネージャー
について、追加料金が発生するかどうかも含め、どこまで相談ができるか確認しましょう。
リスティング広告代理店の運用担当者についてチェックしたいポイント
リスティング広告の成果を左右する担当者について、しっかりチェックしましょう。
チェックポイント12:リスティング広告の運用担当者と直接会えるか
代理店によっては「営業担当」と「運用担当」を分けている場合があります。
分かれている場合、営業担当は実際にクライアントのアカウントを運用しているわけではないため、いくら営業担当にリスティングの相談をしても上手く改善しない場合があります。
実際にリスティング広告運用する担当者と直接会うことができるかは重要なポイントです。
チェックポイント13:リスティング広告の運用担当者が得意な案件
自社と同じ商材のリスティング広告を運用したことがある方が運用担当者になると、たしかにメリットは大きいです。
特に、掲載開始時の初期は、手探りではなく経験を元にしたアカウント設計ができるため、成果が出るまでのスピードは速くなる可能性があります。
ただ、実際に同じ商材の案件を運用したことがある担当者と巡り合える可能性は低いです。
その際は、どのような案件が得意かを確認して、自社の案件に近いかどうか確認しましょう。
例えば、
- どれぐらいの予算規模の案件を運用することが多いか?
- 高単価でコンバージョンが少ない案件と、低単価でコンバージョンが多い案件ではどちらが得意か?
- 売り切り型の商材と、リピート型の商材ではどちらが得意か?
など。
チェックポイント14:リスティング広告のアクセス解析やタグマネージャーの知識
リスティング広告の成果を上げるためには、広告の運用だけではなくランディングページの改善も必要です。
また、リマーケティング広告で成果を出すためには、リマーケティングリストの元となるサイトの流入や対象ページの把握が必要となり、アクセス解析の知識が必要です。
場合によってはタグマネージャーのイベントや条件を使って、絞り込んだリマーケティングリストを作る可能性もあります。
リスティング広告のアカウント数値だけでなく、ウェブマーケティング全体として考察ができるか担当者かどうかチェックしましょう。
リスティング広告を行う前に。自社についてもチェックしたいポイント
ここまで「代理店をチェックしましょう」と書いてきましたが、代理店選びで失敗する要因の半分は、事業者側にもあると思います。
まず、リスティング広告の運用代理店は、1人の担当者が複数のクライントを掛け持ちしています。手数料を月額200万円以上払えているのであれば、代理店も専属で動いてくれるかもしれませんが、通常は掛け持ちで対応しているので、手数料が少ない案件ほど、優先度も下がってしまうのも事実です。
そのため、最初から全て代理店にお願いしようとして丸投げにしていては失敗します。
よく『代理店が動いてくれない』という声も聞きます。
しかし、代理店は事業者側が「動かす」ものです。事業者側でも「動かす」ための準備をしましょう。
チェックポイント15:自社商品・サービスの差別化が明確になっているか
リスティング広告に限らず、商品やサービスは比較してから購入されます。
自社の訴求軸が不明確のまま、代理店にリスティング広告の運用を依頼しても成果は出にくいです。
自社商材・自社サービスの強みをまとめて、代理店に事前に共有しましょう。まともな代理店であれば、情報をもとに優位性のある広告を提案してくれるはずです。
自社商材・自社サービスの差別化を行う方法としては、「SHOT分析」などがあります。
関連ブログ:マーケティングの基本「3C分析」と「SWOT分析」
チェックポイント16:自社ターゲットのペルソナを把握しているか
リスティング運用の担当者がクライアントのサービスを理解するまでには時間がかかります。
その商品やサービスが、どのような方に使われて、どのようなメリットがあるのかが分かるまでに、半年はかかると思います。
私も法律事務所のマーケティング担当だったとき、借金の手続きで「債務整理」と「自己破産」の違いを理解するのに3ヵ月かかりました。
「どんなユーザーが使う商品なのか」など、ターゲットユーザーのペルソナを、代理店に事前に共有しましょう。
まともな代理店であれば、情報をもとにターゲットの行動にマッチした検索キーワードを提案してくれるはずです。
チェックポイント17:事業のROAS、ROIに基づいた数値目標を持っているか
自社の売り上げ単価や利益率を元に、リスティング広告のCPAなど目標値を"自社内"で設定しておきましょう。
これは、最初から代理店に伝える必要はりません。代理店から質問されたら答えましょう。
逆に、商品単価や目標CPAを聞いてこない代理店はアウトと判断しましょう。
個人的には、リスティング広告の目標CPAが適正に設定できるかかどうかが、代理店を動かすためには重要だと思います。
「とにかくCPAを安くしろ」と、現実的ではない無理な目標値を設定してしまうと、最初から達成することを諦めてリスティング運用も流してしまいます。
だからといって、甘いCPA目標では達成しても意味がありません。
絶妙なCPA目標が設定できると、リスティング運用も上手くいきます。
まとめ
リスティング広告の運用会社を選ぶポイントは、まず「ハズレ」の代理店を選ばないこと。
チェックポイントを元に、誠実そうな複数社の代理店に相談していきましょう。
成果はリスティング広告を運用する担当者に依存しますので、運用担当者と直接話しをしてみて、相性のよい方に依頼することで失敗のリスクを防ぐことができます。
是非、参考にしてください。