最近「マイクロコンバージョン」や「中間コンバージョン」といった言葉を聞く機会が増えていませんか?
私自身もお客様にリスティング広告の設計の説明をする際に、「マイクロコンバージョン」の役割や必要性(メリット、デメリット)の話をしています。
このブログで紹介する「マイクロコンバージョン」とは、「購入完了」や「申し込み完了」などの「最終コンバージョン」とは別に、「最終コンバージョン」の“直前の行動”や、「最終コンバージョン」に繋がる“特定の条件”で計測するコンバージョンのことです。
「マイクロコンバージョン(中間コンバージョン)」の考え方は、広告運用者やサイト管理者によっても様々ですが、広告運用者の一個人として『マイクロコンバージョンをどう活用しているか』を紹介します。
目次
マイクロコンバージョン(中間コンバージョン)とは
まず、リスティング広告の運用を行う場合、広告の成果を把握するためにコンバージョンを計測します。
ECサイトであれば「購入完了」、BtoBのサービスサイトならリード獲得用の「資料請求」、士業など電話問い合せが多い案件であれば「電話問い合せ」など、サイト上でのゴールを「コンバージョン」として計測するケースが一般的です。
次に本題の「マイクロコンバージョン(中間コンバージョン)」についてですが、「購入完了」「資料請求」「電話問い合せ」といったサイト上で発生する“成果”とは別に、“成果に至るまでの中間アクション”を指標として計測することです。
BtoBサイトの「資料請求」であれば、その直前のページ「フォーム入力」などが該当します。
なお、このページでは、「購入完了」「資料請求」「電話問い合せ」といった本来の成果を「最終コンバージョン」、それ以外の中間アクションを「マイクロコンバージョン」として記載します。
余談:コンバージョン計測の話
個人的な意見ですが、サイトには必ず“役割”があるので、「コンバージョンは何も計測していない」はNGです。
もしコンバージョン計測を何もしていないのであれば、何かしらのKPIを決めて、コンバージョン計測を行うことをオススメします。
せっかくの広告費が『クリックがたくさんありました。良かったね』だけで終わってしまいますので。
もし、映画の告知のような「ブランディング案件」でも、「広告のクリック数」だけを見るのではなく、別のKPIでコンバージョン計測を行うと、より広告の成果を把握しやすくなります。
例えば「滞在時間〇分以上」をコンバージョンとして計測すれば、『サイト内容をじっくり見てくれたユーザは何割いたか?』を把握できます。
マイクロコンバージョンを活用するメリットとデメリット
リスティング広告の運用では、「最終コンバージョン」のみを計測するケースが多いかと存じます。
しかし近年は、リスティング広告運用の仕組みや考え方の変化、また媒体の「自動入札」の精度が進化しています。
>>>「hagakure(ハガクレ)構造」とは?リスティング広告のアカウント設計
この変化や進化に合わせ、『マイクロコンバージョンの活用』が注目されるようになりました。
『マイクロコンバージョンの活用』が注目されているポイントを、実際に私個人が感じる「メリット」と「デメリット」の両方からまとめます。
マイクロコンバージョンを活用するメリット
「マイクロコンバージョン」を活用するメリットの1つとして『最終コンバージョンが少ない案件でも、成果判断の指標が増える』があります。
「最終コンバージョン」が数件しか発生しない案件の場合、キーワードや広告文の成果判断が難しくなります。(最終コンバージョンが1件あるかないかで数値が大きく変わるため)
そこで「マイクロコンバージョン」を設定することで、指標が増え『「最終コンバージョン」に寄与しそうなキーワードや広告文』を判断することが可能となります。
また、別のメリットとして『少額案件でも自動入札が活用できる』があります。
特にYahoo!スポンサードサーチやYDNで自動入札を活用するためには、一定数のコンバージョンが発生している必要があります。
広告予算が少ない案件では「最終コンバージョン数」も少なくなり、自動入札を活用できないケースがあります。
「最終コンバージョン」と「マイクロコンバージョン」を合わせて計測することで、総コンバージョン数が増え、自動入札の利用が可能になることもあります。
マイクロコンバージョンを活用するデメリット
「マイクロコンバージョン」を設定することで発生するデメリットもあります。
1つは『正しいポイントをマイクロコンバージョンとして設定しないと、自動入札が上手く機能しない(最終コンバージョンが増えない)』です。
私が実際に経験した例では「電話からの問い合せ」が、お問い合わせ全体の8割を超える案件で、「メール問い合わせの入力フォーム」をマイクロコンバージョンとして設定して自動入札を動かしたところ「電話からの問い合せ」が4割ほど減ってしまいました。
(その後、どんな対策をしたかはページ後半で紹介します。)
また、運用の手間の部分では「計測するコンバージョンが増えることで運用工数が増える」です。
広告の管理画面の指標「コンバージョン」には、各コンバージョンの総数が表示されるため、「最終コンバージョン」のみの数値を把握するためには、「分割⇒コンバージョンアクション」といった作業を行う必要が出てきます。
また、広告レポートの作成も『最終コンバージョンのみを抽出した数値で作る』という必要が出てきます。
このページの後半でも紹介しますが、『Google広告のカスタム列を活用する』や『Googelアナリティクスを活用する』といった工夫が必要になります。
マイクロコンバージョンを設定するときのポイント。最終コンバージョンに寄与するアクションを把握する
「マイクロコンバージョン」を上手く活用するポイントは、Googleアナリティクスを活用して、『「最終コンバージョン」に寄与するアクションを把握して、「マイクロコンバージョン」として計測する』です。
私自身が実施している「マイクロコンバージョン」の設定例を紹介します。
設定例1:入力フォームページを「マイクロコンバージョン」として計測
ページ前半の設定例でも紹介している「マイクロコンバージョン」の計測例です。
「最終コンバージョン」の手前のアクションを「マイクロコンバージョン」として設定します。
ECサイトであれば「カート追加」や「購入フォーム」、BtoBサイトであれば「資料請求フォーム」です。
「最終コンバージョン」に近いアクションですので、自動入札に活用して「最終コンバージョンが減ってしまった」という失敗は比較的少ないです。(「電話問い合せ」は別ですが)
設定例2:「最終コンバージョン」を行ったユーザが閲覧するページを「マイクロコンバージョン」として計測
私は特に「電話問い合せ」が多い案件で、この設定を行うことが多いです。
例えば「法律事務所」の案件であれば、「弁護士紹介ページ」や「弁護士費用」のページなどです。
どのページが「最終コンバージョン(電話問い合せ)」に寄与しているかは、Googleアナリティクスを活用して「ランディングページ」ごとの「電話問い合せの目標」を確認したり、「セグメント」で“電話問い合せをしたユーザ”を条件で絞って「行動フロー」などを確認して、色々と試します。
『入力フォームを「マイクロコンバージョン」に設定して、電話問い合せが減ってしまった』という案件は、このマイクロコンバージョンの見直しで電話の問い合せ数が逆に増加しました。
ただ1回で最適な「マイクロコンバージョン」のポイントはなかなか見つからないので、トライ&エラーの繰り返しでした…。
設定例3:フォーム一体型LPで「Googleタグマネージャー(GTM)」を活用してマイクロコンバージョンを計測
最近は「ランディングページの中に入力フォームが埋め込まれている」というLPも多いです。
この場合、「LP」⇒「問合せ完了」となり、「フォーム入力ページ」がないため、フォームURLを条件とした「マイクロコンバージョン」の計測ができません。
このケースでは「Googleタグマネージャー(GTM)」の「トリガー」を活用して“特定の行動”を条件にして「マイクロコンバージョン」を計測します。
例えば、「LPを〇〇%スクロールした」や「LPに〇分以上滞在した」「LP内の特定のボタンをクリックした」「LP内のフォームに入力をした」などです。
※個人的な感想※フォーム一体型LPのマイクロコンバージョンは難しい
フォーム一体型LPのマイクロコンバージョンの計測例を書きましたが、実施のところ「最終コンバージョン」に寄与する「マイクロコンバージョン」の条件を見つけることは、なかなか難しいです…。
デバイス別に「マイクロコンバージョン」のコンバージョン率にバラツキが出たり、「マイクロコンバージョン」を設定したものの「最終コンバージョン」に関連性があまりなかったりして、自動入札も『???』と感じるケースが多いです。
最近(2019年1月現在)では
◆Googl広告(検索、GDN)
「マイクロコンバージョン」は設定せずに、少ない「最終コンバージョン」だけで自動入札を使う。
◆Yahoo!スポンサードサーチ、YDN
自動入札を使わない。(Googleの結果を参考に「手動入札」で調整)
ということも多いです。
設定例4:Google広告の場合は「スマートゴール」をマイクロコンバージョンに活用も
Google広告の場合、Googleアナリティクスと連携させて「スマートゴール」をGoogel広告のコンバージョンとしてインポートすることが可能です。
スマートゴール
最も品質の高いWebサイトのセッションをコンバージョンとして使用して、Google 広告の掲載結果を最適化します。
入札単価、広告、Webサイトを最適化するには、Google 広告のコンバージョン トラッキングまたはインポートした Google アナリティクス e コマース トランザクションを使って、明示的なコンバージョンを測定するのが理想的ですが、まだコンバージョンを測定していない場合は、スマートゴールを設定して、最も品質の高いセッションをコンバージョンとして使用するのが簡単です。
その後でスマートゴールを使用して、Google 広告の掲載結果を最適化できます。
この「スマートゴール」を「マイクロコンバージョン」として活用することもあります。
これからの広告運用は「Googleアナリティクス(GA)」と「Googleタグマネージャー(GTM)」の活用がポイントに
ここまで「マイクロコンバージョン」の話の中で、「Googleアナリティクス」や「Googleタグマネージャー」といった言葉が出てきましたが、これからのリスティング広告運用にはこの2つの知識が必要になると感じています。
リスティング広告の管理画面を見ているだけでは、なかなか上手く運用できないケースが増えています。
個人的には『「Googleアナリティクス」と「Googleタグマネージャー」は必須』となっています。
そのため私が請け負っている案件は、「Googleアナリティクス」と「Googleタグマネージャー」(あと可能であれば「サーチコンソール」も)の操作権限をいただくことを必須条件にしています。
なんて“スペシャリスト”っぽく書いていますが、「Googleアナリティクス」も「Googleタグマネージャー」も最低限の知識しか持っていません。『設定方法に困っても、ググって調べればなんとか分かる』程度の知識です。
もし『これから「Googleアナリティクス」も「Googleタグマネージャー」を勉強したい』というリスティング広告運用者の方は、「リスティング広告運用者はスキルアップのために「WordPress(ワードプレス)ブログ」を作ろう」を参考いただければ幸いです。
リスティング広告でのマイクロコンバージョンの活用例
「マイクロコンバージョン」の設定例と重なる部分もありますが、実例を紹介します。
その1:最終コンバージョンが少ない案件で「自動入札」を利用する
少額案件で自動入札を活用するために「マイクロコンバージョン」を活用しています。
詳しくは「【Google広告の自動入札】月額10万円のアカウントで成果が改善した事例」をご覧ください。
その2:「フォーム到達数」と「最終コンバージョン数」から、「フォーム離脱率」を把握する
「マイクロコンバージョン」は、自動入札の活用に役立つだけではありません。
フォーム到達を「マイクロコンバージョン」として計測し、「最終コンバージョン」と掛け合わせることで「フォーム離脱率」を把握することが可能です。
その3:ABテストで「フォーム到達率」を比較する
その2と同様に、フォーム到達を「マイクロコンバージョン」として計測し、クリック数と掛け合わせることで、「フォーム到達率」を把握することが可能です。
Google広告は「カスタム列」を活用すると、各指標の把握が便利に
Google広告の場合、「フォーム離脱率」や「フォーム到達率」は、「カスタム列」という“指標をカスタマイズできる機能”を活用するとカンタンに把握できます。
上記のキャプチャーも「カスタム列」を利用したものです。
詳しくは「【Google広告】「カスタム列」で表示する指標をカスタマイズ。見たい数字を簡単に確認する方法」をご覧ください。
まとめ
あくまでも「最終コンバージョン」を増やすための手段として「マイクロコンバージョン」があります。
私も基本的には「マイクロコンバージョン」を活用しますが、「最終コンバージョン」に繋がらない場合は「マイクロコンバージョン」の設定を何度も見直したり、そもそも自動入札への活用を見送ることもあります。
とはいえ、広告媒体の自動入札が進化する中で、「マイクロコンバージョン」の活用は「最終コンバージョン」を増やすための有効な手段です。
「最終コンバージョン」と「マイクロコンバージョン」の因果関係を正しく把握したうえで設定し、素敵な広告運用ライフをお過ごしください。