ターゲティングとモニタリングの違い

こんにちは。アミジャットの田島です。

ウェブ広告運用にありがちな勘違いやミステイクを、紹介&解説する『「#100日以内に死ぬ広告運用者」解説シリーズ』の第4回目です。

元ネタは「#100日以内に死ぬ広告運用者」というTwitter投稿です。

今回は“一概に「間違い」とは言えない”というネタが多く、私自身も改めて

『ウェブ広告運用を言語化して説明するって難しいなぁ』

と感じています。

解説では誤解が発生しないように気を付けて書いておりますが、至らぬ点がありましたら申し訳ございません。

少しでもウェブ広告運用に役立てれば幸いです。

※「#100日以内に死ぬ広告運用者」は、48日目までは「DAN爵さん(@NYUSQUARE)」というフリーランスが考えたネタ、49日目以降は私「アミジャット田島佑哉」が考えたネタです。

 

Web広告(リスティング広告)運用の基本的な仕組みや考え方について知りたい方は、別ブログ「リスティング広告とは?リスティング広告の仕組みをわかりやすく解説」をご覧ください。
リスティング広告とは

 



【16日目のネタ】オーディエンス設定の「ターゲティング」と「モニタリング」の違い

指摘ポイントは

『検索キャンペーンにオーディエンス設定するときの、「ターゲティング」と「モニタリング」の違いを理解しているか?』

です。

先に元ネタのツイートの中に出てくる「RLSA」という言葉ですが、これはRemarketing Lists for Search Adsの略で、「検索広告向けリマーケティング」と呼ばれる機能です。

「リマーケティングリスト」を検索広告キャンペーン(または広告グループ)に設定することで、

  • 検索広告で「リマーケティングリスト」の対象者に対しては通常とは違う広告を表示する。
  • Google 広告のスマート自動入札のシグナル(入札を決める要素)に「リマーケティングリスト」を活用する。

などが出来ます。

※RLSAの活用方法は色々ありますので、別の機会に紹介します。
※ブログ内ではあえて「リマーケティング」という用語を使っています。(22年3月現在)

さて、指摘ポイントに戻りますが、検索広告キャンペーンに「リマーケティングリスト(オーディエンス)」を設定するときに、

「ターゲティング」と「モニタリング」のどちらで設定するか?

という2つの選択肢が表示されます。

キャンペーンへのオーディエンス設定

「ターゲティング」と「モニタリング」には、

ターゲティング
⇒配信対象をそのユーザーだけに絞る。

モニタリング
⇒配信対象は絞らないけど、対象者の入札調整やデータを確認できるようにする。

 

といった違いがあります。

ターゲティングとモニタリングの違い

例えばRLSAで行いたい施策が

◆既存会員に対して「会員限定キャンペーン」の広告を表示する

であれば、検索広告のキャンペーン(または広告グループ)を「既存会員向け」「会員以外」と別けて、「既存会員向け」に対してリマーケティングリストを「ターゲティング」で設定する必要があります。

例:検索広告キャンペーンにリマーケティングリストを「ターゲティング」で設定

RLSA-キャンペーン別

例:検索広告グループにリマーケティングリストを「ターゲティング」で設定

RLSA-広告グループ別

※「既存会員向け」のリマーケティングリストの作成方法は、「会員登録完了ページの表示」や「ログイン完了ページの表示」をリストの条件にする、などがあります。

 

また、実施したい施策が

◆既存の検索キャンペーンのスマート自動入札にリマーケティングリストのデータを活用する

であれば、既存の検索広告キャンペーン(または広告グループ)にリマーケティングリストを「モニタリング」で設定します。

RLSAに限らずオーディエンスを設定するときに、「ターゲティング」と「モニタリング」を間違えてしまうと

『対象者じゃない人にも広告が表示されている…』

『急に表示回数が減ってしまった…』

が起こりますのでご注意ください。

【17日目のネタ】媒体によっては広告配信できない商材がある

指摘ポイントは

『Yahoo!広告では「検体を海外に送付する検査キット」の広告掲載はできない』

です。

掲載できない理由は、Yahoo!広告のガイドラインに記載されているので引用します。

13. 身体機能等検査キット

広告掲載基準

下記の掲載基準を満たす必要があります。
(1) 検体を海外に送付するものではないこと

~中略~

解説

身体機能等検査キットは人体に関わるものであり、本来医療機関等が行わなければならない検査を海外や不適格な施設で行うことで、検査を受けたユーザーが正しい検査結果を得られなかったり、適切な病気の治療が不要であると誤認したりすることのないよう、ユーザー保護の観点から掲載基準を定めています。

また、遺伝子情報をはじめとしたプライバシー情報を取り扱うサービスのため、これらの情報の管理についても掲載基準を定めています。

引用元:13. 身体機能等検査キット - ヘルプ - Yahoo!広告

『Google 広告では掲載できる商材がYahoo!広告では掲載できない。(逆も然り)』

というケースはよくあります。

『各媒体の広告掲載基準を全て暗記しろ!』

とまでは言いませんが、ちょっと気分転換に広告掲載基準を読んだりして、該当する商材を大まかに覚えておくと、新規案件の相談がきたときに

『あれ?この商材って、広告掲載基準のカテゴリに何か書いてあったような気が…』

とアラートが立つようになります。

「#100日以内に死ぬ広告運用者」の2日目のネタ

と重なる部分ですが、「媒体のヘルプページで、その商材が広告掲載できるか確認する」という癖をつけると、広告出稿の提案しておきながら

『すみません。掲載不可でした!』

と、後出しで謝るというケースを防げます。

【18日目のネタ】指名(社名)キーワードの取り扱いに注意

指摘ポイントは

『お客様から「社名で広告を表示させないで」と言われているのに、表示させようとしている』

です。

よくある背景としては

・お客様
『社名で検索したときに、自然検索で1位に表示されているから、検索広告でクリックされると費用がもったいない』

・ウェブ広告運用者(広告代理店)
『社名検索はコンバージョンを獲得しやすいので、検索広告を表示させたい』

 

と、「社名(指名)キーワードで広告を出すか、出さないか」の意見が分かれるケースです。

本来であれば、お客様とウェブ広告運用者(広告代理店)の間で、社名(指名)キーワードで広告を出したときのメリット、デメリットを話し合いながら、方針を決めるべきですね。

関連ブログ
指名キーワードに関しては、別ブログ「検索広告に指名キーワードは必要?「サーチコンソール」で判断する方法」をご覧ください。

このウェブ広告運用者は、お客様との話し合いや、広告を出すべきかどうかを分析する手間をかけたくないので、“こっそりと社名(指名)キーワードで広告を表示する方法”を選んでしまいました。

本来であれば、お客様から

『ウチの社名「アミジャット」では広告を出さないで欲しい』

と依頼されたら

・アミジャット
・あみじゃっと
・amijat

を除外キーワード設定するのが正しい対応ですね。

※除外キーワードでは“表示ゆれ”や“類義語”をカバーしないので、「アミジャット」「あみじゃっと」「amijat」と複数パターンを除外キーワード設定しておくと良いですね。

後述しますが、“普通のウェブ広告代理店”であれば、除外キーワード設定をします。

お客様から

『ウチの社名で検索したら広告が出ている』

『検索クエリ(語句)レポートを出して』

と指摘されたら、対応がダメダメなことが直ぐにバレますので。

※お客様は「広告アカウントの閲覧権限を共有してくてる代理店」を選んだ方が良いと、私は考えています。

18日のネタには「現実的じゃない」部分もありまして…

このネタを考えたDAN爵さんには申し訳ないのですが、ネタの内容に「???」と思う部分がありまして…。

DAN爵さん、ごめんね!ごめんね!(U字工事)

ネタの中に書かれている、“社名と似たキーワードを登録する”という一文、これが現実的じゃないんですよね。

  • そもそもどんな”社名と似たキーワード”って、何を登録するの?(「NTT」なら「N丁丁」とか?)
  • 検索クエリレポートを出さなくても、登録キーワードレポートを出した時点で『この変なキーワードは何ですか?』と指摘さちゃう…。

ネタを投稿した2020年の当時は違ったかもしれませんが、2022年3月現在は「部分一致キーワード拡張」によって、登録していない社名(指名)でも検索したら広告が表示されます。

分かりやすい例が、私の屋号「アミジャット」で検索した結果画面です。

アミジャットの検索結果

広告表示されている企業様は、わざわざ「アミジャット」なんて検索ボリュームも少ないキーワードを登録していないと思われますが、実際は広告表示されています。

これは、部分一致キーワードの「リスティング広告」や「フリーランス」が拡張して、検索キーワード「アミジャット」も広告表示の対象になっているのかな、と。

つまり、“社名と似たキーワードを登録する”という施策は蛇足なんですよね…。

DAN爵さん、ごめんね!ごめんね!(U字工事)

実は、この“悪テク”を使えてしまう立場の人もいます

先ほど、

“普通のウェブ広告代理店”なら、こっそり社名(指名)キーワードで掲載なんてしない。(なぜなら、お客様にすぐバレるから)

と記載しましたが、実は「アフィリエイター」の人で、検索広告も配信して流入を集めている方は、この悪テクが使えてしまいます。

アフィリエイト商材の多くは

『検索広告を出してもいいいけど、社名(指名)キーワードでは広告を出さないで』

というルールがあります。

実際に社名(指名)キーワードで広告を出してしまうと、商材側の担当者が気づいて

『このキーワードでは広告を出さないでください』

と注意が届きます。

で、それでも社名(指名)キーワードで検索広告を出して、コンバージョンを獲得したいアフィリエイターは、こんな“悪テク”を使います。

1:指名キーワードキャンペーンに、商材側の担当者がいる地域だけ「配信地域から除外」を行う。

⇒担当者が社名で検索しても、広告が表示されないので気づかない。

ただ、商材側の担当者が「プレビューツール」を使えば、地域を変えて社名(指名)キーワードで広告が表示されているか確認することができます。

これでは、商材側の担当者がいる地域を除外しても意味がないので、次の“悪テク”

2:商材側の担当者が寝ているであろう“0時~6時”の間だけ、社名(指名)キーワードで広告を表示する。

 

を行うケースもあります。

Google 広告であれば、自社で出している社名(指名)の完全一致キーワードの「オークションレポート」を確認すれば、どこのアフィリエイトサイトが広告を出しているか確認できそうですが、Yahoo!広告の場合は難しそうですね。

昔、私の麻雀の師匠が

『イカサマは徹底的に覚えろ。そして、絶対に使うな!』

と言っていたのを思い出しました。

【19日目のネタ】このネタは一概に「間違いです」と指摘するポイントがありませんでした…

このネタは、一概に“間違いです”と指摘できるポイントが分かりませんでした。

元ネタを考えたDAN爵さんにも

『どうゆう意図でネタを考えたんですか?』

を確認しましたが、やはり私にはこのネタで「ここが間違いです」と指摘するのは無理があると感じましたので、

『明確な指摘ポイントは無し』

とさせてください。(すみません…)

いちおう私が

『これが間違い(指摘ポイント)なのかな?』

と思った箇所をまとめます。

その1:契約期間の縛りを利用した引き延ばし?

このウェブ広告代理店の契約は3ヵ月間ごとの更新で、契約更新が切れる月になんとか翌月の実施も決まったから「3ヵ月は契約が続く」ということなのかな、と。

ただ、

『元々、「3ヵ月間ごとの更新」でお客様と合意して契約しているのなら、問題ないよね?』

と、指摘ポイントから却下。

その2:検索広告をディスプレイ広告に切り替えたこと?

お客様からリスティング広告(検索広告)の提案をしてと言われていたのに、ディスプレイ広告の提案をしたからダメなのか、と。

これも、何も考えずに

『検索広告がダメだから、ディスプレイ広告に切り替えましょう』

って言っているのなら「ダメですね」と指摘しやすいのですが、検索広告の成果が悪かった理由を分析した上でディスプレイ広告を提案しているのならOKじゃないかな、と。

業界によっては、検索広告の平均クリック単価が5,000円以上とかもあります。

例:キーワードプランナーでの「医療系転職」の入札単価

キーワードプランナー医者転職

この場合は検索広告よりもディスプレイ広告を配信して、低CPCでクリックを集めた方が成果も改善する可能性もあるので、指摘ポイントから却下。

その3:“とりあえず3ヵ月”の期間がダメなの?

ディスプレイ広告を提案したときに、

『3ヵ月は実施してください』

と伝えていて、それがNGなのかな、と、

まぁ成果が出るかどうかは最初の1ヵ月で判断できなくもないけど、

・1ヵ月目:配信状況を見ながら微調整しつつ、データを貯める期間
・2か月目:自動入札に切り替えて運用する学習期間
・3ヵ月目:クリエイティブの改善を進めて、成果を評価する期間

ってことなら、3ヵ月間の実施は別に問題ないと思ったので、指摘ポイントから却下。

「#100日以内に死ぬ広告運用者」のネタ作りの難しさ

「#100日以内に死ぬ広告運用者」の投稿ネタには

ウェブ広告運用者側の勘違いでなければいけない

というルールがあります。(まぁ投稿しているこちらで勝手に作ったルールなんですけど)

このルールのおかげで、

『このネタの何が間違っているんだろう?』

というクイズ形式が成り立っています。

このルールが無ければ

『23時になったから帰るぞ。あれ、クライアントから「今日中にバナー20本の入稿お願いします」と依頼が来たぞ…。ああ、終電が…(死亡まであと〇〇日)』

というネタ投稿でもOKなのですが、このツイートからは

『ウェブ広告運用者って辛い仕事だな』

『こんな依頼をするクライアントは嫌だな』

といった負の感情しか生まれません…。

で、何が言いたいかというと、

『それなりに苦労してネタを考えているので、ネタに間違いがあっても暖かく見守ってね』

てこと!

↓「#100日以内に死ぬ広告運用者」のネタ作りの苦労をまとめたnoteです。

【20日目のネタ】登録キーワード数が多ければ良いって訳ではない

これも一概に「間違いです」とは断言しにくいのですが、指摘ポイントは

『登録キーワード数が多い=良い運用ではない』

です。

これは13日目のネタ

でも同様の解説をしましたが、

『登録キーワード数が多い(または少ない)ければ良い(または悪い)』

ではなく

『狙った検索語句(クエリ)に、表示させたい広告を、適切な入札単価で表示でているなら、登録キーワード数は何個でも構わない』

と、私個人は考えています。

※ただ最近、媒体側からは「キーワードを登録してください」を推奨しているので、あくまでも“私個人の考え”と記載しておきます。

検索広告の登録キーワード数についてのアミジャット田島の独り言

最近はフレーズ一致キーワードや完全一致キーワードの拡張の幅が広くなってきていて、数年前に比べて登録キーワードや除外キーワードを多く設定する必要が出てきた感じです。

1:マッチタイプを重複させたキーワード登録が増えた

[会員制サウナ 田町](完全一致)
“会員制サウナ 田町”(フレーズ一致)

みたいな。

昔は

+会員制サウナ +田町(絞り込み部分一致)

この1キーワードでも検索語句にバラツキはなかったのになぁ、と思うことが。

まぁ、時代ですね。

2:除外キーワードの数が半端ないって

登録キーワードの追加よりも、「除外キーワード」の追加の方がより重要かな、と。

除外キーワードの登録数も増えてくるので、共有ライブラリの「除外キーワードリスト」を活用して、以下に除外キーワードのメンテナンスをやり易くできるかがポイントかな、と感じています。

まぁ、時代ですね。

関連ブログ
除外キーワードリストの活用について詳しく知りたい方は、別ブログ「除外キーワードを共有ライブラリーで簡単に管理する方法」をご覧ください。

「#100日以内に死ぬ広告運用者」16日目~20日目のまとめ

「1日~5日目」のネタ解説ブログを書いたときから気づいていたのですが、

『この解説ブログって、テキスト量に対してオーガニックの流入数が少ない!』

なんですよね。

1つのページの中に、5つの異なるネタ解説が書かれているので、Googleの検索エンジンからすると

『このブログは何について書いているんだ?』

と、評価が中途半端になっちゃうんですよね。

自然検索の順位も上がりにくいコンテンツなので、「解説ブログを書く時間(文字数や説明図)」と「コンテンツからの自然検索流入数」のコスパが合わないんですよ…。

あと、1日目から48日目までのネタを作ったDAN爵さんからも

『私のネタの解説は飛ばしてください。微妙なネタもあるので…』

と言われているので、今後は解説しやすい特定のネタをピックアップして書いた方が良いんだろうなぁ…。

だが断る

ということで、引き続き「#100日以内に死ぬ広告運用者」“全てのネタ解説”を書いていきます。

最後まで記事を読んでいただきありがとうございます。この記事が役に立ったなと思ったらSNSでシェアしていただけるとうれしいです。