Google 検索広告、Yahoo!検索広告などの「検索連動型広告」(以下、「検索広告」)を配信するとき、Googleアナリティクスで検索広告ごとの流入を計測できるように設定しているのではないでしょうか?
私の場合、Google アナリティクスの「参照元/メディア」の計測を、
Google 検索広告=「google/cpc」
Yahoo!検索広告=「yahoo/cpc」
と分類されるよう、Google 広告アカウントとGoogleアナリティクスを連携させ、またYahoo!検索広告のリンク先URLにはUTMパラメータを追加しています。
そんな平和な毎日を過ごしていたのですが、とあることを切っ掛けに
『検索広告にGoogleアナリティクスの設定を何もしないで配信すると、「参照元/メディア」ってどう計測されるの?』
という疑問が湧きだし、その日から「参照元/メディア」が気になって夜しか眠れない毎日が続きました。
そこで今回、「参照元/メディア」がどのように計測されるか、実際に検索広告を配信して調べました。
私と同じ疑問に悩まされている方の参考になれば幸いです。
目次
検索広告の「参照元/メディア」を調べてみようと思った切っ掛け
以前、Twitterに「#100日以内に死ぬ広告運用者」という、ウェブ広告運用者が間違いやすいミスや勘違いのネタ投稿が行われていました。
私は「#100日以内に死ぬ広告運用者」のネタについての解説ブログを書いているのですが、DAN爵さん(@NYUSQUARE)という人が投稿した31日目の元ネタが、私の悩みの始まりとなりました。
100日以内に死ぬ広告運用者 31日目
「Yahoo!広告の成績をGoogleアナリティクスで見たいんですけどって言われたけど、何で見れないんだろ。Google広告は何にもしなくても分類されているんだけどな、Yahoo!広告のエラーですって返事するか。」
死まで69日— DAN爵🐿BtoB専門 広告運用&ウェブ担代行💹 (@NYUSQUARE) February 20, 2020
このネタを簡単に解説するなら
『Yahoo!広告の数値をGoogleアナリティクスで見るためには、「UTMパラメータ」の設定が必要』
ですが、ネタの中に出てくる一言、
“Google広告は何にもしなくても分類されているんだけどな”
のおかげで
『あれ?「Google 広告」は何も設定しなくても、Googleアナリティクスで確認できるんだっけ?』
という疑問が湧きだしました。
Twitterでもこんな質問してみました。
詳しい人、教えてください。
・G広告アカウントの自動タグは「オフ」
・G広告アカウントにはutmパラメータを付けていない
・G広告アカウントとGAは連携させていないこの場合、GA(UA)での、Google検索広告からの流入って「参照元/メディア」はどうなるんですかね?
— アミジャット田島佑哉@リスティング広告運用のフリーランス (@amijat_work) March 1, 2022
「参照元/メディア」について、色々な見解をいただきましたが、
『「参照元/メディア」は仕様上「〇〇〇/〇〇〇」だと思われるけど、どうなるかは実際に検証してみた方が良い』
というアドバイスが多く。
このモヤモヤを解決するために、私(アミジャット)のホームページを使って実際に検索広告を配信し、「参照元/メディア」がどうなるのか検証してみることにしました。
検索広告の「参照元/メディア」の検証方法
私の予想では、検索広告にGoogleアナリティクスの設定を何もしないと「参照元/メディア」は、
Google 検索広告=「google/organic」
Yahoo!検索広告=「yahoo/organic」
になるのではないかと想定していました。
ただ、検索広告の「自動タグ」(検索広告をクリックした後、リンク先URLの後ろに「gclid=」や「yclid=」と付くアレ)をオンにするかオフにするかで、「参照元/メディア」の結果も変わりそうな気がしたので、以下の4パターンの検索広告を配信して検証することにしました。
- Yahoo!検索広告(自動タグ「オフ」)※広告掲載方式の指定「検索のみ」
- Yahoo!検索広告(自動タグ「オン」)※広告掲載方式の指定「検索のみ」
- Google検索広告(自動タグ「オフ」)※Google 検索パートナーを「含めない」
- Google検索広告(自動タグ「オン」)※Google 検索パートナーを「含めない」
検索広告の検証に使用したリンク先URL(ランディングページ)
検索広告のリンク先URL(ランディングページ)は、検索広告以外からの流入が発生してしまうと「参照元/メディア」が混ざってしまい検証することができません。
そこで、私(アミジャット)の「リスティング広告の運用代行サービス」のページ内容をコピーし、別のURLに変えて「noindex」を設定して公開したページを、検索広告のリンク先URLに設定しました。
なお、Yahoo!広告の審査が「リンク先ページに電話番号が掲載されていないからダメ」と審査落ちしたため、検証用のページには電話番号を記載していました。
電話番号をホームページに載せると営業電話が多くなるので、ウチのホームページには電話番号を載せていないんですよね。
検証結果①Yahoo!検索広告で「自動タグ:オフ」の場合の「参照元/メディア」
Googleアナリティクスの「参照元/メディア」は、「yahoo/organic」と「(direct) / (none)」の2パターンになりました。
Twitterの元ネタの通り、何も設定しないとGoogleアナリティクスではYahoo!検索広告の数値は確認できませんね。
検証結果②Yahoo!検索広告で「自動タグ:オン」の場合の「参照元/メディア」
Googleアナリティクスの「参照元/メディア」は、「yahoo/organic」となりました。
※サンプル数(クリック数)が少ないので、「(direct) / (none)」が出てこなかったのは偶然かもしれませんが。
なお、Googleアナリティクス側で「yclid」のパラメータ除外の設定を行っていない場合、キャプチャーのようにランディングページ(広告のリンク先URL)の後ろに「? yclid=YSS.」が追加され、同じURLでも別ページとしてバラバラに数値が表示されます。
※「GA4」でもパラメータ除外の機能を早くリリースして欲しいですね。
検証結果③Google検索広告で「自動タグ:オフ」の場合の「参照元/メディア」
Googleアナリティクスの「参照元/メディア」は、「google/organic」と「(direct) / (none)」の2パターンになりました。
「Yahoo!検索広告(自動タグ:オフ)」のときと同じ結果となりました。
なお、Google広告の「自動タグ」のデフォルト設定は「オフ」です。
自動タグの設定
自動タグ設定はデフォルトでオフになっています。
元ネタのツイートのように
“Google広告は何にもしなくても分類されているんだけどな”
とは違う結果になりました。
※ただ、この件については色々ありまして後ほど「余談」で補足します。
検証結果④Google検索広告で「自動タグ:オン」の場合の「参照元/メディア」
Googleアナリティクスの「参照元/メディア」は、「google/cpc」となりました。
Yahoo!広告とは異なり、Google広告の自動タグ「gclid=」は、Googleアナリティクス側で自動的に除外されます。
Google 広告のアカウント設定が「自動タグ:オン」の状態であれば、Googleアナリティクスの「参照元/メディア」は「google/ cpc」になるので、元ネタのツイートの
“Google広告は何にもしなくても分類されているんだけどな”
は成り立ちます。(「キャンペーン」や「キーワード」など確認できませんが)
余談:Google広告の「自動タグ」のデフォルト設定は「オフ」なの?
検証③で説明した通り、Google 広告の「自動タグ」のデフォルト設定は「オフ」です。
ここで議論になったのが、
『でも、新規アカウントでGoogle 広告を掲載するときに、「自動タグ」をオンに切り替える作業を行った覚えがないんだけど…』
です。
たしかに私も、Google 広告を新規アカウントで配信するときに、「自動タグ」がオンになっているかは確認しているのですけど、「自動タグをオンに切り替える」って作業を行った記憶がないんですよね。
DAN爵さんも実際にGoogle 広告アカウントを新規作成して「自動タグ」の状況を確認してくれたのですが、やっぱり「オフ」がデフォルトでした…。
さらにここから、DAN爵さんが色々と調べてくれまして、
おー、その通りでした。コンバージョン作成時! pic.twitter.com/Te5qu6CyHh
— DAN爵🐿BtoB専門 広告運用&ウェブ担代行💹 (@NYUSQUARE) March 2, 2022
Google 広告アカウントの自動タグの設定は「コンバージョンアクション」を作成したタイミングで「オン」に変わる。
ということが分かりました。
なので、元ネタのツイートの、
“Google広告は何にもしなくても分類されているんだけどな”
は、Google 広告アカウントでコンバージョンタグを発行していれば自動タグが「オン」になるので、Googleアナリティクスの「参照元/メディア」は「google/ cpc」に分類されるので、成り立つことが分かりました。
進研ゼミでも解説さていないポイントですので、試験前までには確実に覚えておきましょう。
まとめ
まず、Google 広告については、広告アカウントとGoogleアナリティクスを連携させて、数値を確認できるようにすることをオススメします。
今後、Googleアナリティクスが「GA4」という新しいプロダクトに変わり、Google 広告とGoogleアナリティクスを連携することで、数値を確認するだけではなく”広告運用の成果”に関するメリットが広がる見込みです。
また、Google 広告以外の広告では、リンク先URLの後ろに「UTMパラメータ」を付けて、Googleアナリティクスに数値が反映されるようにしましょう。
普段、「#100日以内に死ぬ広告運用者」のネタ解説は5日分をまとめて解説していますが、ネタの内容によっては今回のように深掘りして検証と解説をしていきます!
『ところで、検索広告にGoogleアナリティクスの計測設定を何もしないと「参照元/メディア」はどうなるのか?を知ったところで何の役に立つんですか?』
なんて“無粋”なことは言わないお約束でお願いいたします。
By 本田宗一郎
「#100日以内に死ぬ広告運用者」ネタ解説シリーズ
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