- Excel関数のエラーを手動で修正する危険性と、その対処法
- 「Google広告コミュニティ」と「Google広告ヘルプ窓口」の使い分けの重要性
- レポート作成時の「現状報告」だけでなく、今後の施策提案の必要性
X(旧Twitter)で100日間、「Web広告運用の失敗事例」を投稿した「#100日以内に死ぬ広告運用者」シリーズ。
投稿したネタに対して『どこが間違いなのか分からない…』という声も多かったので、それぞれのネタの間違いポイントを解説していきます。
※「#100日以内に死ぬ広告運用者」は、48日目までは「DAN爵さん(@NYUSQUARE)」というフリーランスが考えたネタ、49日目以降は私「アミジャット田島佑哉」が考えたネタです。
Web広告(リスティング広告)運用の基本的な仕組みや考え方について知りたい方は、別ブログ「リスティング広告とは?リスティング広告の仕組みをわかりやすく解説」をご覧ください。
目次
【6日目の間違いネタ】Excel(スプレッドシート)の関数のエラーを手打ちで修正してしまう
100日以内に死ぬ広告運用者 6日目
「あれ、excelで吐き出したレポートの数字があわない。まあ、いっか手動でなおせばいいや。関数入っててるのを消して、手打ちで修正!
ちゃんと確認作業する、俺って優秀〜」
死まで94日— DAN爵🐿WEB集客&リスティング広告運用🦈 (@NYUSQUARE) January 26, 2020
このネタはTwitterの文字数制限もあり、情景説明が不十分のため、私自身もこの解説ポイントを考えながら
『何と何の数字がどう合わなくて、何で関数を消す必要があるの???』
と思ってしまいました。(DAN爵さん、ごめんね!)
ひとまず指摘ポイントは
『エクセルの関数で計算している個所に、直接数字を入れてしまう』
『レポート数字を加工して誤魔化す』
の2つです。
指摘ポイント1:エクセルの関数で計算している個所に、直接数字を入れてしまう
「関数で計算している個所を、手打ちで修正」で、直ぐに思いつくケースは、
・CPCやCPAの項目に「件数/広告費用」の関数を入れて表示。
↓
・件数が0の場合「#DIV/0!」が表示されてしまう。
↓
・「#DIV/0!」を手打ちで修正する。
です。
このようにCPAを関数で表示する場合は、皆さんも大好きな「IFERROR関数」を使いましょう。
指摘ポイント2:レポート数字を加工して誤魔化す
「何と何の数値が合わなかったのか?」によっても変わりますが、レポート数値を修正する(誤魔化す)ケースはこの2つです。
ケース1:「広告管理画面の数字」と「広告管理画面から抽出したエクセルの数値」が合わなかった
「広告管理画面の数字」と「広告管理画面から抽出したエクセルの数値」が合わなかった場合、まずは
・レポートの抽出期間を間違えていないか?
・抽出時に「フィルター」や「条件の絞り込み」がかかっていないか?
をチェックしましょう。
安易にレポート数値を修正せず、数値が合わない原因をつきとめることが大切です。
ケース2:「Googleアナリテイクスなどの外部ツールの数値」と「広告管理画面から抽出したエクセルの数値」が合わなかった
この場合は、計測ツールと広告管理画面では、計測の仕組みが異なるため、お客様に「そもそも数値はズレます」と説明しておくことが大切です。
以前に、とある広告代理店様のサポートを行っていた際に
代理店様『「広告管理画面の数値」と「Googleアナリテイクスの数値」を合わせる作業に手間がかかっている』
私『そもそも数値に差異は出るものなので、広告レポートの数値まで合わせる必要ありますか?』
代理店様『もう1年もこれを続けているので、今さらお客様に言えない…』
なんてことがありました。
結局、お客様にちゃんと説明して
お客様『広告レポートの数字は、Googleアナリテイクスの数値と違っていても問題ない』
となりました。
お客様に仕様を分かりやすく伝えて、理解してもらうことも大切な役割です。
余談:「数字合わせをするために、関数の箇所を上書き修正する」について
今回のネタ「Excel(スプレッドシート)の関数のエラーを手打ちで修正してしまう」の解説を書く際に
『「何かしらの数字が合わないから、関数を修正する」ってどうゆうケースだろう?』
と、めちゃくちゃ悩みました。
まず、関数を使う項目って「CPC」「CTR」「CPA」「CVR」あたりだと思うのですが、この数字を合わるために関数を消すっていうのが、現実的ではないというか…。
・広告費用:10,000円 ←分子
・コンバージョン数:2件 ←分母
・CPA(関数で表示):5,000円
これで「CPA」を手入力で“4,000円”に修正した場合、そもそもの「広告費用」と「コンバージョン数」も変更しないと、CPAの計算が合わなくなるんですよね…。
なので、数字を合わせるために「コンバージョン数を修正した」ならまだ分かるんですけど、「関数を修正した」の情景が思い浮かびませんでした…。
※元ネタを考えたDAN爵さん、批判してごめんなさいね!
まぁ、“「パズル」は解くよりも作る方が難しい”ってやつです。
【7日目の間違いネタ】:間違って「Google 広告 コミュニティ」にお問い合わせをしてしまう
100日以内に死ぬ広告運用者 7日目
「Google広告ヘルプ見ても良く分からないな。質問する場所は~、おっとコミュニティで質問するって項目があるな。ヨシ、質問しよう。 株式会社〇〇の××です。△△という会社の広告に於いて、数十万円使ってCV0なのですが、これはGoogleの仕様でsy…」
死まで93日— DAN爵🐿WEB集客&リスティング広告運用🦈 (@NYUSQUARE) January 27, 2020
指摘ポイントは
『Googleのヘルプサポートに質問したつもりが、「Google 広告 コミュニティ」に投稿している』
です。
「Google 広告 コミュニティ」とは、誰でも投稿や閲覧ができる「掲示板」のような場所です。
ここに間違えて
『〇〇社の△△と申します。×××社(クライアント名)の広告について…』
と送ってしまうと、代理店の機密情報が「Google 広告 コミュニティ」に晒されてしまうという、なかなか危険度が高いミステイクです。
これは、Google 広告の管理画面の「ヘルプ」の導線が分かりにくくて、Google 広告に慣れていない人向けの“罠”としか思えないですね…。
『知らないうちに「Google 広告 コミュニティ」に投稿していた』
という人も多いかと思われます。
『ちゃんと「Google 広告 ヘルプ窓口」へのお問い合わせになっているか?』
指差し確認で要チェックです。
Google 広告の管理画面からお問い合わせメールを送った後に、間違ってGoogle 広告のフォーラムに投稿していないか、念のためチェックする私。
— アミジャット田島佑哉🍊🦅🎲フリーランスのリスティング広告運用者 (@amijat_work) February 3, 2022
お問い合わせの入力フォームに「Google 広告のお客様 ID を選択」が無い場合は
『あれ、これはもしかして「フォーラムへの投稿」か?』
と疑った方が良いです。
「Google 広告 ヘルプ窓口へのお問い合わせ」についてアミジャット田島の独り言
Google広告に限りませんが、ウェブ広告は代理店に依頼しなくても掲載できます。
初心者向けの本も沢山ありますので、「本を見ながら自分でGoogle広告を掲載している」という人も多いかと思います。
ただ、解説本の中では
『トラブルが起きたとき、「どこに」「どのような文面で」お問い合わせればよいか?』
までは説明されていないので、このようなミスが起こるのかなと感じます。
私がウェブ広告代理店に勤めていた頃は分業制でして、GoogleやYahoo!などの媒体とやりとりを専門に行う「メディアチーム」がありました。
※フリーランスとして独立した今も、ウェブ広告代理店時代の分業制を参考に組織を作っています。(まぁ、私が1人で全ての部署を担当しているんですけどね。)
私の昔話となりますが、当時のウェブ広告代理店では、Googleに質問したい場合
「ウェブ広告運用者」⇒「メディア担当」⇒「Google」
といった流れでした。
「メディア担当」の人が、「ウェブ広告運用者」から届いた質問に対して、“Googleに問い合わせるべき内容か?”を精査して、Googleに問い合わせます。
で、この「メディア担当」はウェブ広告運用経験が豊富なリーダークラスの人が担当するので、中途半端な質問を送ると怒られていました(笑)
ウェブ広告運用者『〇〇が消えているんですけど、バグなのかGoogleに質問して貰えませんか?』
↓
メディア担当『先週のアップデート情報で「〇〇が消える」と告知してるよね(怒)アップデート情報を確認せずに仕事してるの?』
ケース:2
ウェブ広告運用者『△△が□□に変わっているんですけど、仕様なのかGoogleに質問して貰えませんか?』
↓
メディア担当『その質問、以前に××さんがしていて、Googleからの回答をFAQに公開しているよね(怒)。FAQの履歴を確認してから質問してくれるかな?(激おこ)』
みたいな。※当時の話です。
ですので、「メディア担当者」に質問を送るときは、「アップデート情報」「過去の質問履歴(FAQ)」「媒体のヘルプページ」を漁るように確認していました。
私も2年目にGoogleのメディア担当をやらせていただき、メディア担当の先輩から
『媒体から“ちゃんとした回答”を貰うための質問の書き方』
などを教わり、これは今でも役に立っています。
そんな「思い出話」です。
【8日目の間違いネタ】:現状を報告しただけの「レポートの考察」
100日以内に死ぬ広告運用者 8日目
「【レポート報告】Google広告ですが、三か月前より自動化に任せております。先月に比べインプレッションが半分、クリック率の悪化、CPCの上昇は、Googleの自動化が暴走したためです。現在、Googleに調査をお願いしております。競合が増えたのかもです。」
死まで92日— DAN爵🐿WEB集客&リスティング広告運用🦈 (@NYUSQUARE) January 28, 2020
指摘ポイントは
『レポートの報告内容が現状数値の説明のみで、今後の施策について言及がない』
です。
「インプレッションが増えた」や「クリック率が悪化した」は、レポートの数値を見れば分かることなので、
お客様『で、どうするの?』
に対して、施策案を答えたいところですね。
「現状把握」…配信実績から“良い点”と“悪い点”を整理
↓
「考察」…なぜ良くなったか、なぜ悪くなったかを考える
↓
「施策案の提示」…「考察」に基づいて“良い点をさらに伸ばす施策案”、または“悪い点を改善する施策案”
こんな感じのステップで考えていくと良いかと思います。
あと、「日別レポート」を作るときは、
・数字の変化
・行った施策
を同時に確認できるようにまとめておくと、
『なんで途中からコンバージョンが増えているの?』
といった振り返りが簡単にできるようになります。
※小川卓さんの「提案型ウェブアナリスト育成講座」で教えていただきました。
【10日目の間違いネタ】:広告予算額の「消費税込み?」「手数料込み?」の認識違い
100日以内に死ぬ広告運用者 10日目
「よし期間限定の契約案件終了~ ん?経理が呼んでいるな。 この案件は契約通り、100万円税込みで、手数料が10%別途ですよ。大丈夫です。ほら、このGoogle管理画面を見てください、今日で問題なく、ちょうど100万円をつかいきりました!」
死まで90日— DAN爵🐿WEB集客&リスティング広告運用🦈 (@NYUSQUARE) January 30, 2020
指摘ポイントは
『広告予算の「税込み金額?税抜き金額?」の勘違い』
です。
このツイートの内容を整理すると、
・契約は「広告予算:100万円(税込み)」
・Google広告の管理画面では「100万円」を使い切っている
とのことです。
そして、Google 広告の管理画面に表示される「費用」は“税抜き”の金額が表示されます。
ですので、Google 広告の管理画面上での「費用」は、「909,091円」までに抑えなければ、「広告予算:100万円(税込み)」をオーバーしてしまいます。
このツイートの場合、管理画面上で「100万円(税抜き)」を使っていますので、実際は「110万円(税込み)」ですね。
10万円分を余計に利用してしまったため、この10万円は恐らく「補てん」ということになりますね。(お客様には100万円までしか請求できず、残りの10万円は広告代理店側の自腹…)
広告予算が「税込み/税抜き」「手数料込み/手数料抜き」なのか、案件ごとにしっかり管理することが必要ですね。
広告予算の「税込み/税抜き」「手数料込み/手数料抜き」について、アミジャット田島の独り言
案件ごとに「イレギュラー」があると、それだけミスが発生するリスクも増えるので
『受注する際は、全ての案件を「税抜き」「手数料込み」で統一する』
が一番良いと思います。
ただ、代理店様にも色々と事情があるので、「イレギュラーな条件」でも請けないといけないケースもありますよね。
私は2017年からフリーランスとして活動していますが、
『金額の認識間違い⇒補てん⇒死亡』
と、配信金額のミス(補てん)で、本当に「100日以内に死ぬ広告運用者」になってしまうので、特に新規案件での広告予算のやり取りは慎重に行っています。
御見積の提出時に、
『この予算は「管理画面上の費用」です。「運用代行手数料」は別請求です。「消費税」は別請求です。』
を小姑のように細かく説明&確認しています。
「#100日以内に死ぬ広告運用者」6日目~10日目のまとめ
100本のネタのうち、やっと10日目まで解説を書けました。
は飲み込んだ。
それだけは喉が拒んだ。
言い訳は優しく肩を叩くが、その先の面倒は一切見ちゃくれない。
By MOROHA
という感じで、言い訳せずに「#100日以内に死ぬ広告運用者」11日目以降のネタ解説を続けていきます。